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    パティシエの離職率は高い?実態と辞める理由、長く働ける職場の選び方を解説

    女性パティシエ

    「パティシエは離職率が高い」「1年で70%が辞める」といった情報を見て、不安になった方もいるのではないでしょうか。

    結論からいうと、パティシエだけを対象にした全国的な公的離職率は公表されていません。そのため、「パティシエの○%が1年以内に辞める」と正確に示せる統計は、現在確認できません。

    一方、パティシエの勤務先となるホテルやレストランを含む「宿泊業・飲食サービス業」は、厚生労働省の調査で離職率が比較的高い産業です。2025年の離職率は23.7%で、産業全体の13.7%を上回っています。

    ただし、この数字をそのまま「パティシエの離職率」と考えるのも正確ではありません。

    この記事では、パティシエの離職率について確認できる公的データを整理したうえで、離職につながりやすい理由や、長く働ける職場を見つけるポイントまで解説します。

    目次

    パティシエだけの離職率を示す公的データはない

    まず押さえておきたいのは、厚生労働省などの公的統計では、「パティシエ」という職種だけを切り出した離職率が公表されていないことです。

    パティシエは働く場所も一つではありません。

    厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、「洋菓子製造、パティシエ」が属する産業として、製造業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業などを挙げています。洋菓子店、菓子工場、ホテル、レストランなど、勤務先によって所属する産業そのものが異なるわけです。

    そのため、「宿泊業・飲食サービス業の離職率=すべてのパティシエの離職率」とすることもできません。

    パティシエの離職率を見るときは、職種単独の数字は存在しないことを前提に、関連する産業や新卒者のデータを参考値として確認するのが適切です。

    「パティシエは1年で70%、3年で90%が辞める」は本当?

    インターネットでは、「パティシエは1年以内に70%、3年以内に90%が辞める」といった数字を見かけることがあります。

    しかし、厚生労働省をはじめとする公的機関の統計では、これらの数字を裏付けるパティシエ単独の全国調査は確認できません。

    したがって、「パティシエの7割が1年で辞める」と事実として考える必要はありません。

    そもそも「離職率」といっても、「1年間に在籍者の何%が辞めたか」と「新卒入社した人の何%が3年以内に辞めたか」では意味が異なります。

    数字だけを見て判断するのではなく、「誰を対象に、どの期間で集計した数字なのか」まで確認することが重要です。

    関連業界の離職率は全産業より高い

    パティシエ単独の離職率はわからなくても、主要な勤務先の一つである宿泊業・飲食サービス業のデータは確認できます。

    厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」によると、2025年の離職率は次のとおりです。

    区分産業全体宿泊業・飲食サービス業
    全労働者13.7%23.7%
    一般労働者11.4%21.5%
    パートタイム労働者19.9%25.0%

    宿泊業・飲食サービス業では、全労働者の離職率が23.7%。産業全体の13.7%を10ポイント上回っています。

    一般労働者だけを見ても、産業全体の11.4%に対して宿泊業・飲食サービス業は21.5%です。

    なお、厚生労働省の「一般労働者」は「正社員」と完全に同じ意味ではありません。パートタイム労働者以外の常用労働者を指す区分です。

    また、先ほど触れたとおり、製菓メーカーや洋菓子店など別の産業で働くパティシエもいるため、23.7%を「パティシエの離職率」と読み替えることはできません。

    それでも、パティシエの主要な就業先の一つである宿泊・飲食分野では、人の入れ替わりが比較的多いことはデータから読み取れます。

    新卒では3年以内に半数以上が離職する産業も

    若手の離職について考えるうえでは、新規学卒者のデータも参考になります。

    厚生労働省によると、2022年3月卒業者の就職後3年以内離職率は、全体では高卒37.9%、大卒33.8%でした。

    一方、「宿泊業・飲食サービス業」に就職した人では、高卒64.7%、大卒55.4%です。

    新卒者全産業宿泊業・飲食サービス業
    高卒37.9%64.7%
    大卒33.8%55.4%

    高卒では約3人に2人、大卒でも半数以上が3年以内に最初の職場を離れています。

    ここでもパティシエだけの数字ではありませんが、ホテルやレストランへ新卒入社するパティシエにとっては、参考になるデータでしょう。

    大切なのは、「パティシエだから必ず辞める」のではなく、勤務先や労働環境によって定着しやすさには大きな差があると考えることです。

    パティシエが離職を考えやすい5つの理由

    パティシエとして働く人が転職や退職を考える背景は、一つではありません。

    お菓子作りそのものが嫌になったのではなく、勤務時間や給与、人間関係など「今の職場では続けにくい」というケースもあります。

    労働時間や繁忙期の負担が大きい

    パティシエの仕事では、店頭に商品を並べる前の仕込みから、製造、仕上げ、清掃まで多くの工程があります。

    勤務先によっては早朝から仕込みを始めたり、営業後まで片付けが続いたりすることもあるでしょう。

    さらに、クリスマス、バレンタイン、ホワイトデーなどは洋菓子の需要が増える時期です。ホテルであれば、通常のレストラン営業に加えて宴会や婚礼の需要が重なる場合もあります。

    繁忙期の残業や休日の取り方、人員体制によっては、長期的な負担につながります。

    立ち仕事や重量物など体力的な負担がある

    パティシエは、基本的に立ったまま作業する時間が長い職種です。

    大量の材料や天板を運ぶ、同じ姿勢で細かな作業を続ける、高温のオーブンや冷蔵・冷凍設備を使用するといった場面もあります。

    若いうちは問題なく働けても、長時間勤務と身体への負担が重なることで、「この働き方を何年も続けられるだろうか」と考える人もいるでしょう。

    仕事を長く続けるには、本人の体力だけでなく、適切な人員配置や勤務時間、設備なども重要です。

    給与と仕事の負担が見合わないと感じることがある

    厚生労働省のjob tagでは、「洋菓子製造、パティシエ」に関連する職業分類の年収は全国平均396.7万円、ハローワーク求人の月額賃金は22.5万円となっています。いずれも2025年の統計をもとにした数字です。

    ただし、この統計にはパティシエ以外の関連職種も含まれるため、パティシエだけの平均年収ではありません。

    実際の給与は、経験年数、勤務先、地域、役職などによって大きく異なります。

    仕事内容や勤務時間に対して給与が低い、技術が向上しても昇給につながらない、と感じれば、より条件のよい職場への転職を考えるきっかけになるでしょう。

    関連記事:ホテルパティシエの給料・年収は?実際の求人データから給与相場と上げ方を解説

    やりたい仕事を任せてもらえるまで時間がかかる

    「ケーキを作りたい」「新商品の開発をしたい」と考えてパティシエになっても、入社直後から希望する仕事をすべて担当できるとは限りません。

    職場によっては、計量、仕込み、洗い物、清掃などから経験を積み、少しずつ担当できる工程を増やしていきます。

    下積みそのものには技術を身につける意味があります。しかし、「いつまで続くのかわからない」「何を身につければ次の工程へ進めるのかわからない」という状態では、将来を描きにくくなります。

    問題は下積みの有無だけではありません。育成の道筋が本人に見えているかどうかも、働き続けるうえで重要です。

    人間関係や教育方法が合わない

    製菓の現場では、経験豊富な先輩から直接技術を学ぶ機会があります。

    一方、指導方法や職場の文化は勤務先によってさまざまです。「見て覚える」ことを重視する職場もあれば、工程をマニュアル化し、段階的に教育する職場もあります。

    自分に合わない教育方法や厳しい人間関係が続けば、仕事内容が好きでも離職を考える原因になり得ます。

    パティシエという仕事と、現在の職場の文化は分けて考えたほうがよいでしょう。

    離職率が高いから「パティシエを辞めたほうがいい」とは限らない

    ここまでのデータを見ると、「パティシエを続けるのは難しいのでは」と感じるかもしれません。

    しかし、離職率が高い業界だからといって、パティシエという仕事そのものに問題があるとは限りません。

    離職には、職種そのものを辞めるケースだけでなく、同じパティシエとして別の職場へ移るケースも含まれます。

    技術をさらに磨くために有名店へ転職する人、担当できる仕事を増やすためにホテルへ移る人、給与や休日などの条件を改善するために勤務先を変える人もいます。

    職人として経験を広げるための転職であれば、離職は必ずしもネガティブな出来事ではありません。

    重要なのは、「離職率が高いから辞める」「離職率が高いから我慢する」と数字だけで判断しないことです。

    辞めたいときは「仕事」と「職場」を分けて考える

    今の仕事を辞めたいと感じたら、まず考えたいのが、

    「パティシエを辞めたいのか、今の職場を辞めたいのか」

    という違いです。

    この二つを混同すると、本当はお菓子作りを続けたいのに業界そのものから離れてしまったり、反対に仕事内容が合っていないのに職場だけを変えて同じ悩みを繰り返したりする可能性があります。

    辞めたい原因考えられる選択肢
    残業や休日に不満がある労務管理の整った職場へ転職する
    給与や評価制度に不満がある給与体系・昇給基準が明確な職場を探す
    人間関係や教育方法が合わない教育制度や職場風土の異なる職場へ移る
    担当できる仕事が限られているより幅広い製菓業務を経験できる職場へ移る
    製菓そのものに魅力を感じなくなった経験を活かせる別職種も検討する

    職場を変えるだけで解決できる問題なら、パティシエそのものを諦める必要はありません。

    反対に、製菓の仕事自体を続けたいと思えないのであれば、食品メーカーの商品開発、製菓材料の販売、製菓学校など、経験を活かせる周辺職種まで視野を広げる方法があります。

    長く働けるパティシエの職場を見極めるポイント

    離職率という業界平均だけを見ても、自分が応募する会社の働きやすさまではわかりません。

    転職先を選ぶ際は、「パティシエの離職率は何%か」よりも、その職場で実際にどのような働き方になるのかを確認することが重要です。

    特に、次の点は求人票や面接で確認しておきたいところです。

    • 月の平均残業時間と繁忙期の残業時間
    • 年間休日数と希望休・有給休暇の取りやすさ
    • 早番・遅番など具体的なシフト
    • 製菓部門の人数と1日の人員体制
    • 入社後に担当する仕事と、その後の育成ステップ
    • 昇給・評価制度
    • チーフやシェフパティシエなどへのキャリアパス
    • 中途入社者の定着状況

    「残業あり」「シフト制」といった求人票上の言葉だけでは、実際の働き方までは判断できません。

    たとえば同じ月20時間の残業でも、一年を通して均等なのか、クリスマス前に集中するのかで負担は違います。

    「製菓経験者歓迎」という求人でも、入社後すぐ生菓子を担当できる職場と、長期間補助業務を担当する職場では、身につく経験が変わってくるでしょう。

    応募前に知っている情報が多いほど、入社後のミスマッチは減らせます。

    ホテルパティシエへの転職も一つの選択肢

    現在、個人の洋菓子店やレストランで働いている方なら、ホテルのパティシエも転職先の候補になります。

    ホテルでは、ショップで販売するケーキだけでなく、レストランのコースデザート、ビュッフェ、宴会、ウエディングケーキなど、施設によって幅広い製菓業務があります。

    また、運営会社や施設によっては、就業規則、研修制度、評価制度、福利厚生などが明文化されています。

    ただし、「ホテルなら必ず働きやすい」というわけではありません。

    ホテルでも、施設規模、運営会社、人員体制、製菓部門の方針によって働き方は大きく異なります。

    「個人店かホテルか」だけで判断するのではなく、実際の勤務時間、休日、担当業務、教育制度まで比較することが大切です。

    パティシエの離職率に関するよくある質問

    パティシエの離職率は何%ですか?

    パティシエだけを対象とした全国的な公的離職率は公表されていません。

    参考として、厚生労働省の2025年雇用動向調査では、パティシエの勤務先の一つである「宿泊業・飲食サービス業」の離職率は23.7%でした。全産業では13.7%です。

    ただし、製造業や小売業などで働くパティシエもいるため、23.7%をパティシエ全体の離職率と考えることはできません。

    「パティシエは1年で70%が辞める」というのは本当ですか?

    「1年以内に70%」という数字を裏付ける全国的な公的統計は確認できません。

    出所や調査方法がわからない数字を、そのままパティシエ全体の離職率として扱わないほうがよいでしょう。

    パティシエは3年以内に辞める人が多いですか?

    パティシエ単独のデータはありません。

    一方、2022年3月卒業者のうち「宿泊業・飲食サービス業」へ就職した人の3年以内離職率は、高卒64.7%、大卒55.4%でした。全産業の高卒37.9%、大卒33.8%より高い水準です。

    ホテルやレストランに新卒入社したパティシエにとっては、一つの参考値になります。

    パティシエを辞めたくなったら転職したほうがいいですか?

    まず、「パティシエという仕事が嫌なのか」「現在の職場環境が合わないのか」を整理しましょう。

    給与、休日、勤務時間、人間関係、教育方法などが理由なら、職場を変えることでパティシエを続けられる可能性があります。

    製菓そのものを続けたい気持ちがあるなら、業界から離れる前に別の職場も比較してみる価値があります。

    離職率の数字より「自分が長く働ける職場か」を見よう

    パティシエについて「1年で70%が辞める」といった数字を目にすることがありますが、それを裏付けるパティシエ単独の公的統計は確認できません。

    一方で、厚生労働省の最新データを見ると、主要な勤務先の一つである宿泊業・飲食サービス業の離職率は全産業より高く、新卒者の3年以内離職率も高い水準です。

    だからこそ、重要なのは「パティシエは離職率が高いから仕方ない」と考えることではありません。

    長時間労働、休日、給与、教育方法、担当業務、キャリアパスなどを事前に確認し、自分が続けられる職場を選ぶことです。

    パティシエという仕事が好きでも、すべての職場が自分に合うとは限りません。

    今の職場で働き続けることが難しいと感じているなら、ホテルを含め、これまでの製菓経験を活かせる職場を比較してみてください。

    ホテリエキャリアでは、ホテル・宿泊業界の求人を取り扱っています。

    「今より働きやすい環境でパティシエを続けたい」「経験を活かせるホテルを知りたい」という方は、転職を決める前の情報収集からでもご相談いただけます。

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