ホテルは、立地やサービス内容、グレード、コンセプトなど複数の基準で分類されます。本記事では、ビジネス・シティ・リゾートホテルなど主要な種類をはじめ、分類軸ごとの違いや特徴を整理し、ホテル選びや就職・転職に役立つポイントを解説します。
まず知っておきたい主要なホテル4タイプ
ホテルには多くの呼び方がありますが、まず押さえておきたいのが、次の4タイプです。
| ホテルの種類 | 主な特徴 | 主な利用シーン | 主な分類の考え方 |
|---|---|---|---|
| ビジネスホテル | 宿泊機能と利便性を重視 | 出張、観光、短期滞在 | 利用目的・機能 |
| シティホテル | 都市部にあり、飲食・宴会など幅広い機能を持つ | 観光、ビジネス、会食、婚礼など | 立地・機能 |
| リゾートホテル | 観光地などにあり、滞在そのものを楽しむ | 家族旅行、レジャー、長期休暇など | 立地・利用目的 |
| ラグジュアリーホテル | 上質な設備やサービスを提供する高価格帯のホテル | 記念日、特別な旅行など | グレード・サービス水準 |
ビジネスホテル・シティホテル・リゾートホテルは、日本でホテルの違いを説明するときによく使われる名称です。
一方、ラグジュアリーホテルは少し性質が異なります。「どこにあるホテルか」「何のために利用するホテルか」ではなく、主に価格帯やサービス水準を表す呼び方です。
そのため、「ラグジュアリーなシティホテル」「ラグジュアリーなリゾートホテル」のように、複数の分類が重なることもあります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ビジネスホテル
ビジネスホテルは、出張などの短期滞在に必要な宿泊機能や利便性を重視したホテルです。
駅や繁華街、オフィス街、高速道路のインターチェンジ周辺など、移動しやすい場所に多く見られます。客室は比較的コンパクトで、ベッドやデスク、浴室、Wi-Fiなど、滞在に必要な設備を効率よく配置している施設が中心です。
「ビジネスホテル」という名称ではあるものの、利用者が出張者に限定されているわけではありません。観光客や家族連れなどが利用するホテルもあります。
また、朝食会場や大浴場、コインランドリー、ワークスペースなどを充実させ、宿泊以外の付加価値を打ち出す施設も見られます。
関連記事:ビジネスホテルとは?特徴・ランク・シティホテルやリゾートホテルとの違いと選び方
シティホテル
シティホテルは、都市部に立地し、宿泊に加えて幅広いサービスや施設を備えるホテルです。
客室だけでなく、複数のレストランやバー、宴会場、会議室、結婚式場などを設けている施設もあり、観光や出張だけでなく、会食、宴会、婚礼といったさまざまな目的で利用されます。
ビジネスホテルと比べて施設やサービスの種類が多く、宿泊以外の用途にも対応しやすいことが特徴です。
ただし、都市部にあるホテルがすべてシティホテルと呼ばれるわけではありません。立地だけではなく、施設やサービス内容などを含めて使われる名称と考えるとよいでしょう。
関連記事:シティホテルとは?特徴やビジネスホテルとの違い、働き方まで解説
リゾートホテル
リゾートホテルは、海辺や高原、温泉地、スキー場などの観光・保養地に立地し、ホテルでの滞在そのものを楽しめるようにつくられたホテルです。
プールや温泉、スパ、レストラン、アクティビティ施設などを備え、ホテルやその周辺で長い時間を過ごせる施設もあります。
観光のための「寝る場所」というより、宿泊体験自体が旅行の目的になりやすいことが特徴です。
家族旅行やカップルでの旅行、長期休暇などにも利用され、地域の自然や文化を生かした体験プログラムを提供するホテルもあります。
関連記事:リゾートホテルとは?シティホテルなどとの違いを徹底解説
ラグジュアリーホテル
ラグジュアリーホテルは、高価格帯の客室や上質な設備・サービスを提供するホテルです。
広い客室や質の高い飲食施設、スパ、コンシェルジュなどを備え、画一的なサービスだけではなく、お客様一人ひとりの希望に合わせた対応を重視する施設もあります。
ここで注意したいのが、ラグジュアリーホテルは、ビジネスホテルやリゾートホテルとは分類する基準が異なることです。
たとえば、都市部にある高級ホテルなら「シティホテル」でありながら「ラグジュアリーホテル」、観光地にある高級ホテルなら「リゾートホテル」でありながら「ラグジュアリーホテル」と呼べます。
ホテルの「星の数」についても、ホテルの種類そのものとは別の評価軸です。国や評価機関をまたいで共通する単一の基準があるわけではありません。
関連記事:ラグジュアリーホテルとは?格付けや高級ホテルとの違い、仕事内容を解説
【図解】ホテルの種類は結局どう違う?
ホテルの種類を理解するときに重要なのは、一つのホテルを一つの種類に分類する必要はないということです。
たとえば「都市部にある、高価格帯で、レストランや宴会場を備えたホテル」を考えてみましょう。

つまり、シティホテル or ラグジュアリーホテルという二者択一ではありません。
「立地」「利用目的」「サービスの範囲」「グレード」「コンセプト」といった異なる軸から、同じホテルをそれぞれ分類していると考えると、さまざまなホテルの名称を理解しやすくなります。
主な分類軸を整理すると、次のとおりです。
| 分類する基準 | 代表的なホテルの種類 |
| 立地・利用目的 | ビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテル、エアポートホテルなど |
| 提供するサービス | フルサービスホテル、リミテッドサービスホテルなど |
| グレード・サービス水準 | ラグジュアリー、ハイエンド、ミッドスケール、エコノミーなど |
| コンセプト・滞在形式 | ブティックホテル、ライフスタイルホテル、カプセルホテル、アパートメントホテルなど |
この違いを踏まえたうえで、主要4タイプ以外のホテルについても分類軸ごとに見ていきましょう。
サービス内容によるホテルの種類
ホテルは、「どこまでのサービスや機能を提供するか」によって分類されることもあります。
代表的なのが、フルサービスホテルとリミテッドサービスホテルです。
フルサービスホテル
フルサービスホテルは、宿泊だけではなく、飲食や宴会など幅広いサービスを提供するホテルです。
施設によって異なりますが、レストランやバー、宴会場、会議室、ルームサービス、ベル・ドアサービス、コンシェルジュ、フィットネスジム、スパなどを備える場合があります。
シティホテルやリゾートホテル、ラグジュアリーホテルのなかにも、フルサービス型のホテルがあります。
「シティホテル=フルサービスホテル」という意味ではなく、シティホテルは主に立地や機能、フルサービスホテルは提供するサービスの範囲に着目した名称です。
関連記事:フルサービスホテルとは?特徴とリミテッドサービスの違いを解説
リミテッドサービスホテル
リミテッドサービスホテルは、提供する施設やサービスを絞り、宿泊機能を中心に運営するホテルです。「宿泊特化型ホテル」と呼ばれることもあります。
レストランや宴会場などの機能を設けず、セルフチェックインなどを取り入れて効率的な運営を行う施設もあります。
なお、「リミテッドサービス」は「サービスの質が低い」という意味ではありません。
すべてのサービスを提供するのではなく、必要な機能を選んで提供するホテルと考えると分かりやすいでしょう。
コンセプト・滞在スタイルによるホテルの種類
立地やサービスの範囲だけではなく、「どのような宿泊体験を提供するか」によって特徴づけられるホテルもあります。
ブティックホテル
ブティックホテルは、比較的小規模で、デザインやコンセプトに強い個性を持つホテルです。
歴史的な建築物を活用した施設や、アートを取り入れた施設など、そのスタイルはさまざまです。
「客室数が○室以下ならブティックホテル」といった共通の基準があるわけではなく、独自の世界観や体験を重視するホテルに使われる名称です。
関連記事:ブティックホテルとは?5つの特徴や日本の有名ホテル・働く魅力を解説
ライフスタイルホテル
ライフスタイルホテルは、宿泊することだけでなく、デザインや食、音楽、地域文化、人との交流などを含めた体験を重視するホテルです。
ロビーやラウンジを宿泊者以外にも開いたり、イベントを開催したりと、ホテルを地域との接点として活用する施設もあります。
ブティックホテルと似ていますが、ブティックホテルが個性的なデザインや小規模性を特徴とするのに対し、ライフスタイルホテルは、宿泊者の価値観や過ごし方、地域とのつながりなどを重視する傾向があります。
カプセルホテル
カプセルホテルは、ベッドを中心とした一人分のコンパクトな就寝スペースを提供する宿泊施設です。
一般的なホテルの個室よりもスペースが小さく、シャワーやトイレ、ラウンジなどを共用する施設が多く見られます。
一人旅や短時間の宿泊などにも利用されています。
なお、「カプセルホテル」という名称だけで旅館業法上の営業区分が決まるわけではありません。実際の施設構造や許可内容によって扱いが異なります。
アパートメントホテル・レジデンスホテル
アパートメントホテルやレジデンスホテルは、中長期滞在を想定した設備を備えるホテルです。
客室内にキッチンや電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、リビングスペースなどを設け、一般的な住宅に近い感覚で滞在できる施設もあります。
家族旅行のほか、長期出張やワーケーションなど、数日から数週間以上滞在する場合にも選択肢になります。
オーベルジュ
オーベルジュは、料理を大きな魅力とする宿泊施設です。
日本では一般に、本格的なレストランに宿泊設備を設け、地域の食材や料理人の技術を生かした食体験を提供する施設を指します。
観光地や自然豊かな地域にある比較的小規模な施設も多く、ホテルに「泊まること」だけではなく「食べること」が滞在目的になりやすい点が特徴です。
立地・利用目的によるホテルの種類
特定の場所や利用目的に対応することで、独自の名称が付いているホテルもあります。
エアポートホテル・トランジットホテル
エアポートホテルは、空港内や空港周辺に立地するホテルです。
早朝便や深夜便を利用する人、乗り継ぎ客などに利用され、空港への送迎サービスや短時間利用プランを用意している施設もあります。
トランジットホテルは主に乗り継ぎ客向けの宿泊・休憩施設を指し、国際空港の制限区域内に設置されるケースもあります。
似た名称ですが、エアポートホテルとトランジットホテルが必ず同じ意味で使われるわけではありません。
コンベンションホテル
コンベンションホテルは、会議や学会、展示会、企業研修、各種イベントなどに対応できる設備を持つホテルです。
大型の宴会場や会議室などを備え、宿泊・飲食・イベント運営を一つの施設内で提供できることが特徴です。
シティホテルやフルサービスホテルのなかでも、大規模な会議・イベントへの対応力を持つ施設がコンベンションホテルと位置づけられることがあります。
法律上のホテルの種類は「旅館・ホテル営業」など3種類
ここまで紹介してきた「ビジネスホテル」「シティホテル」「リゾートホテル」といった名称は、一般的なホテルの特徴を表す分類です。
一方、旅館業法では旅館業を次の3種類に分類しています。
| 旅館業法上の区分 | 概要 |
| 旅館・ホテル営業 | 簡易宿所営業・下宿営業以外の旅館業 |
| 簡易宿所営業 | 宿泊場所を多数人で共用する構造・設備を主とする営業 |
| 下宿営業 | 1か月以上の期間を単位として宿泊料を受ける営業 |
つまり、「ビジネスホテル」「シティホテル」といった一般的なホテルタイプと、旅館業法上の区分は別のものです。
ホテルの種類を調べる際は、利用者から見たホテルのタイプと、法律上の営業区分を分けて考える必要があります。
ホテルの種類によって働き方はどう違う?
ホテル業界への就職・転職を考えている場合は、ホテルの種類によって、職種の分け方や担当業務、接客スタイルなどが変わることにも注目してみましょう。
代表的な違いを整理すると、次のようになります。
| ホテルのタイプ | 働き方の傾向 | 相性のよい働き方 |
| ビジネス・リミテッドサービス | 少人数で複数業務を担当することがある | 幅広い業務を効率よく進めたい |
| シティ・フルサービス | 部門が多く、分業されやすい | 一つの職種で専門性を磨きたい |
| リゾート | 滞在中のお客様と長く関わりやすい | 接客や体験提供に深く関わりたい |
| ラグジュアリー | 個別性の高い接客が求められやすい | 高度な接客スキルを身につけたい |
| ブティック・ライフスタイル | 接客以外の企画や発信などに関わる場合がある | アイデアや個性を生かしたい |
| コンベンション | 多くの部署が連携してイベントを運営する | 段取りやチーム連携を生かしたい |
たとえば、大規模なシティホテルでは、フロント、ベル、コンシェルジュ、レストラン、宴会、調理、営業など部門が細かく分かれていることがあります。
一方、小規模なビジネスホテルでは、フロントスタッフが予約管理や電話対応、館内確認など複数の仕事を担当するケースもあります。
ただし、ホテルの種類だけで仕事内容を判断することはできません。
同じシティホテルでも、ホテルの規模や運営会社、客層、配属部署によって仕事内容は異なります。「ビジネスホテルだから仕事が簡単」「ラグジュアリーホテルなら必ず英語が必要」と決めつけず、求人票や採用ページで実際の業務内容を確認しましょう。
目的別に見るホテルの選び方
宿泊先としてホテルを選ぶ場合は、ホテルの名称だけを見るのではなく、何を目的に宿泊するのかから考えると選びやすくなります。
出張や短期滞在ならビジネスホテル
移動のしやすさや宿泊費、客室の機能性を重視するなら、ビジネスホテルやリミテッドサービス型のホテルが候補になります。
駅からのアクセスに加え、Wi-Fiやデスク、朝食時間、コインランドリーなど、必要な設備を確認しておきましょう。
ホテル内でゆっくり過ごすならリゾートホテル
温泉やプール、スパ、食事、アクティビティなどを含め、ホテルでの時間を楽しみたい場合はリゾートホテルが選択肢になります。
客室だけではなく、館内施設や食事、ホテル周辺の環境まで比較すると、自分に合うホテルを選びやすくなります。
記念日や特別な旅行ならラグジュアリーホテル
誕生日や結婚記念日などの特別な機会には、ラグジュアリーホテルやフルサービス型のシティホテルなどが候補になります。
レストランや眺望、ルームサービス、記念日向けのサービスなども比較してみましょう。
長期滞在ならアパートメントホテル
数日から数週間以上の滞在なら、アパートメントホテルやレジデンスホテルが便利です。
キッチンや洗濯機などの設備に加え、清掃サービスの頻度なども確認すると、実際の生活をイメージしやすくなります。
就職・転職先としてホテルを選ぶポイント
ホテルで働きたい場合は、「どの種類のホテルか」だけではなく、実際の働き方まで確認することが重要です。
特に次の項目を比較してみましょう。
- 配属予定の職種
- 一人が担当する業務の範囲
- 夜勤や中抜け勤務の有無
- 早番・遅番などの勤務時間
- 客室数やホテルの規模
- 主な客層
- 語学を使う頻度
- 部署異動やキャリアアップの制度
- 教育・研修制度
- 従業員寮や社宅の有無
同じフロントスタッフでも、ホテルによって仕事内容は大きく変わります。
複数の部門を持つ大規模ホテルで一つの職種の専門性を高める働き方もあれば、小規模ホテルで予約や接客、館内業務などを幅広く経験する働き方もあります。
ホテルの種類は、働き方を考えるための一つの手がかりです。
「どんなホテルで働きたいか」だけではなく、どんな仕事を経験したいか、どのようなスキルを身につけたいかまで考えて求人を比較しましょう。
ホテルの種類に関するよくある質問
ホテルの代表的な種類は?
日本でホテルの違いを説明するときは、ビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテルなどの名称がよく使われます。
ただし、これらは旅館業法で定められた分類ではありません。
さらにラグジュアリーホテルやフルサービスホテル、ライフスタイルホテルなど、別の基準で分類する名称もあります。
ビジネスホテルとシティホテルの違いは?
ビジネスホテルは宿泊機能や利便性を重視する傾向があるのに対し、シティホテルは飲食、宴会、婚礼など、宿泊以外にも幅広いサービスを提供する施設が多い点に違いがあります。
ただし、両者を分ける統一された基準があるわけではなく、大浴場やレストランなどを充実させたビジネスホテルもあります。
シティホテルとラグジュアリーホテルは何が違う?
分類する基準が違います。
シティホテルは主に立地やホテルの機能から見た分類で、ラグジュアリーホテルはグレードやサービス水準から見た分類です。
そのため、一つのホテルが「シティホテル」と「ラグジュアリーホテル」の両方に当てはまることがあります。
シティホテルとフルサービスホテルは同じ?
同じとは限りません。
シティホテルは主に立地や機能による分類で、フルサービスホテルは提供するサービスの範囲による分類です。
シティホテルのなかにはフルサービス型の施設が多くありますが、リゾートホテルにもフルサービス型の施設があります。
旅館はホテルの種類に含まれる?
一般的には、旅館とホテルは異なるスタイルの宿泊施設として扱われます。
ただし、現在の旅館業法上は「ホテル営業」と「旅館営業」が別々の営業区分になっているわけではなく、「旅館・ホテル営業」という一つの区分に含まれます。
ホテルの種類は「分類軸」の違いを知るとわかりやすい
ホテルには、ビジネスホテル、シティホテル、リゾートホテルをはじめ、さまざまな種類があります。
まず違いを理解するなら、ビジネス・シティ・リゾート・ラグジュアリーの主要4タイプから押さえるとよいでしょう。
ただし、ホテルは一つの基準だけで分類されるものではありません。
- 立地や利用目的
- 提供するサービスの範囲
- グレードやサービス水準
- コンセプトや滞在スタイル
といった複数の軸があり、一つのホテルが「シティホテル」「フルサービスホテル」「ラグジュアリーホテル」など、複数の種類に当てはまることもあります。
宿泊先として選ぶ場合は、自分の旅行目的とホテルの特徴を比較しましょう。
ホテル業界への就職・転職を考えている場合は、ホテルの種類だけで判断せず、配属職種や担当業務、勤務時間、教育制度なども確認することが大切です。

