旅館への就職や転職に、不安を感じていませんか。
「仕事がきつい」「休みが少ない」といった口コミもあり、体力的な負担を心配する人もいるでしょう。
旅館では、中抜け勤務を採用する職場があります。幅広い業務や住み込み生活も特徴の一つです。こうした働き方から、きついと言われることがあります。
大切なのは、旅館特有の働き方を理解することです。事前に知ることで、入社後のミスマッチを防げます。
この記事では、旅館の正社員がきついと言われる理由を解説します。向いている人の特徴や、応募前の確認事項も紹介します。職場選びの参考にしてください。
旅館の正社員が「きつい」と言われる理由
旅館の正社員が「きつい」と言われる理由は、主に次の3つです。
- 中抜け勤務で一日を長く感じやすい
- 接客以外の仕事も幅広く担当する
- 住み込み勤務では仕事と私生活の切り替えが難しい
旅館は朝食と夕食の時間帯が最も忙しいため、その間に長い休憩を挟む「中抜け勤務」を採用していることが一般的です。
また、地方の旅館を中心に、従業員寮に住み込みで働くケースも見られます。
こうした働き方や職場環境が、旅館の仕事を大変だと感じる理由につながっています。
まずは、それぞれの特徴と負担になりやすいポイントを表で見てみましょう。
| きつい理由 | 実際に起きること | 負担の種類 |
| 中抜け勤務 | 朝と夕方の2回出勤、昼に空き時間が発生 | 生活リズムの乱れ |
| 接客以外の仕事も多い | 配膳・案内・清掃・電話対応をこなす | 体力的な負担が大きい |
| 住み込み生活 | 職場と生活の場が同じ、休日でも職場にいる感覚 | 仕事と私生活の切り替えが難しい |
一口に「きつい」といっても、その原因は人によって異なります。中抜け勤務が合わない人もいれば、住み込み生活に負担を感じる人も少なくありません。
ここからは、それぞれの理由について詳しく見ていきます。
中抜け勤務で一日を長く感じやすい
「中抜け勤務」では、1日の流れが次のようになります。
– 朝(7時〜10時頃):朝食の準備や接客
– 昼(10時〜15時頃):休憩や自由時間
– 夕方〜夜(15時〜21時頃):夕食の準備や接客
このように、昼間にまとまった休憩がある代わりに、朝と夕方の2回に分けて働くのが特徴です。
実際に働く時間は8〜9時間程度でも、朝食の準備から始まって夕食の後片付けまで含めると、朝7時頃から夜21時頃まで職場の近くで過ごすケースも少なくありません。
昼間の空き時間には外出もできますが、実際には寮や自室で休んだり、仮眠を取ったりして過ごす人が多く見られます。
長い休憩時間はあるものの、夕方から再び仕事が始まるため、思ったほど自由には過ごせないものです。そのせいで、「朝から夜まで仕事の日」という気分になりがちです。
一人で複数の仕事を担当する旅館も少なくない
ホテルではフロントや客室清掃など、担当する仕事が分かれているのが一般的です。
一方、旅館では複数の仕事を担当することも少なくありません。
例えば、食事の配膳や片付けに加え、客室への案内、翌朝の朝食準備、電話での予約対応まで任されることもあります。
時間帯によって担当する仕事が変わるため、接客をしながら電話対応をしたり、次の食事の準備を進めたりする場面も見られます。
住み込み生活は仕事と私生活を切り替えにくい
旅館の正社員の中には、従業員寮や館内の部屋で暮らしながら働く「住み込み」の人もいます。
住み込みは家賃や食費を抑えられるメリットがある一方で、休日でも職場の近くで過ごすことが多いため、なかなか仕事から離れた気分になれないものです。
人間関係が良好であれば大きな負担にはなりません。
しかし、関係がうまくいかないと、仕事以外の時間まで気を使うことになり、気が休まりません。
また、繁忙期には人手が不足しやすく、シフト変更や追加勤務を相談される場合もあります。ただし、休日労働や労働時間の扱いは、就業規則や労働基準法上のルールに沿って運用される必要があります。
ホテルと旅館では働き方がどう違う?
ホテルと旅館では、仕事の分担の仕方やお客様との関わり方に違いがあります。どちらが向いているかは人によって異なるため、それぞれの特徴を比べながら見ていきましょう。
| 比較項目 | 旅館 | ホテル |
| 仕事の範囲 | 1人が複数の業務を担当 | 職種ごとに業務が分かれている |
| お客様との距離 | チェックインから食事まで同じスタッフが担当 | 部門ごとに担当が変わる |
| 勤務時間の形 | 中抜けが発生しやすい | シフト制で一定の時間帯に集中 |
| 休日の目安 | 忙しい時期は休みを取りにくい | 比較的決まったペースで休みやすい |
| 職場の雰囲気 | 少人数で距離が近い | 大人数で組織的に働く |
どちらが働きやすいかは、求める働き方によって変わります。表で示した違いを参考に、自分に合った働き方を選んでください。
接客スタイルは旅館の方が距離が近い
旅館では、チェックインで出迎えたスタッフが客室へ案内し、夕食も同じスタッフが担当するケースが多くあります。
食事の配膳をしながら会話をしたり、観光の相談を受けたりすることもあり、お客様と接する時間が長いのが特徴です。
ホテルのフロントは、チェックインや問い合わせ対応など担当する業務が比較的はっきりしています。そのため、お客様と長時間接する機会は旅館ほど多くありません。
お客様との距離が近い接客が好きな人には旅館が向いています。一方、担当する仕事を決めて働きたい人には、ホテルの方が合うでしょう。
ホテルと旅館では仕事の分担が違う
ホテルでは、フロント・客室清掃・レストランサービスがそれぞれ独立した部門として動いています。フロントのスタッフが客室清掃まで担当することは基本的になく、それぞれが担当業務を中心に働くことが一般的です。
一方、旅館では担当業務の幅が広い職場もあります。さまざまな仕事を経験できることに魅力を感じる人もいれば、一つの仕事だけに集中したい人には負担になりやすい働き方です。
勤務時間や生活リズムにも違いがある
ホテルでは、多くの場合シフト制が採用されており、早番・遅番・夜勤などに分かれています。1回の勤務はおおよそ8時間程度で、仕事が終われば自分の時間を持てるのが特徴です。
一方、旅館は朝食と夕食の時間帯を中心に働くため、ホテルとは勤務のリズムが異なります。生活スタイルとの相性によって、働きやすさの感じ方も変わります。
旅館の主な仕事と忙しくなりやすい場面
旅館には、仲居(客室係)、フロント・予約受付、清掃・配膳などの仕事があります。
ただし、ホテルのように担当がはっきり分かれているとは限りません。旅館によっては、同じスタッフが配膳と清掃の両方を担当することもあります。
仕事内容によって大変さの内容も異なるため、まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。
仲居(客室係):旅館の中でも特に忙しい仕事
仲居は、お客様の到着から出発までを支える仕事です。
仲居の仕事には次のようなものがあります。
– チェックイン時の客室への案内や館内の説明
– 夕食や朝食の配膳
– 食事中のお客様対応
– 食後の片付け
– 布団敷きや布団上げ
– 客室の準備や簡単な清掃
– 観光案内や問い合わせ対応
お客様と接する時間が長く、旅館の接客を支える中心的な存在です。
特に忙しくなりやすいのは、夕食対応が終わった後の時間帯です。お客様が食事を終えると、食器を片付けながら宴会場の片付けを進め、その後は就寝用の布団を敷くために各客室を回ります。
こうした作業を複数の部屋で同時に進めるため、夜21時〜22時頃まで忙しく動き回る日もあります。
布団敷きは、掛け布団や敷き布団、枕を並べて寝る準備を整える仕事です。部屋数が多い日は短時間で多くの部屋を回る必要があり、腰をかがめたり立ったりする動作を何度も繰り返すため、腰や肩に負担を感じる人もいます。
フロント・予約受付:問い合わせ対応と急な変更への対応
フロントの仕事では、お客様のチェックインからチェックアウトまでをサポートします。次のような仕事です。
– チェックインの受付や客室へのご案内
– 電話での予約受付や変更の対応
– チェックアウト時の精算
– お客様からの問い合わせやリクエストへの対応
などを担当します。
お客様と接する機会が多く、旅館の第一印象を左右する仕事でもあります。
フロントが特に忙しくなるのは、チェックインが重なる15時〜18時頃です。到着したお客様の受付をしながら電話にも対応しなければならず、時間帯によっては次々と業務が重なることもあります。
清掃・配膳:短時間で作業を終わらせる忙しさ
客室清掃は、チェックアウト後の部屋を次のお客様用に準備する仕事です。具体的な業務は次の通りです。
– シーツやタオルの交換
– 浴室・トイレの清掃
– アメニティの補充(石けん、歯ブラシなど)
– 掃除機がけ
– 床の拭き掃除
1室ずつこれらの作業を行い、決められた時間内に仕上げなければなりません。
チェックアウトが集中する午前10時〜11時の後、次のチェックインが始まる15時までが勝負です。旅館の規模によっては1人で5〜10室以上を担当することもあり、効率よく作業を進める工夫が欠かせません。
客室清掃だけでなく、食事の配膳も忙しい仕事のひとつです。
料理が冷めないうちに各席へ運ぶため、どの順番で料理を出すかや、どのルートで動くかを事前に確認しておきます。
大人数の宴会では、宴会場の準備から料理を運ぶ作業、配膳の順番まで決まっており、前の作業が遅れると次の作業にも影響が出ます。
旅館の仕事に向いている人・向いていない人
旅館の仕事に向いているかどうかは、性格よりも働き方との相性が大切です。
特に、次の2つに当てはまる人は旅館の仕事に向いている可能性があります。
– 生活リズムが不規則でも対応できる
– さまざまな仕事を担当することに抵抗がない
生活リズムが不規則でも苦になりにくい人
旅館の勤務は、一般的な会社員とは異なる時間帯で働くことがあります。土日や祝日はお客様が多く、一般の会社のように休めるわけではありません。
こうした働き方でも、昼の空き時間に休み、夕方から気持ちを切り替えて働ける人や、多くの人が休んでいる日でも苦にならずに働ける人は、旅館の勤務に慣れやすいといえます。
反対に、毎日同じ時間に働きたい人や、生活リズムが変わると疲れやすい人は、大変だと感じることがあります。
人との距離が近い接客が好きな人
旅館では、チェックインから食事、就寝準備まで、同じお客様と何度も関わる機会があります。会話を重ねる中でお客様の好みや気になっていることを知り、次の食事の際に少し工夫した対応ができることもあります。
短時間で多くのお客様と接するより、一組のお客様とじっくり関わることにやりがいを感じる人は、旅館の接客スタイルが合うでしょう。
決まった働き方を求める人には向かない場合がある
「自分はフロント業務だけに集中したい」「清掃の専門職として働きたい」という方にとって、旅館の働き方は合わない可能性があります。旅館では、その日の状況に合わせて柔軟に動くことが求められるからです。
また、「毎日決まった時間に仕事を終えたい」と考える方にとっても、注意が必要です。繁忙期には夜遅くまで勤務する日もあり、理想の生活リズムを保つのが難しい場面も出てきます。
応募前に確認したい職場環境のポイント
応募する前に旅館での実際の働き方を確認しておくことで、「思っていた仕事と違った」という失敗を防げます。求人票や面接の段階で、確認しておきたい項目を整理しておきましょう。
求人票で確認したい勤務時間と休日
実働時間だけでは働き方のイメージがつかみにくいため、勤務の開始時間や終了時間、一日の流れも確認しておくと安心です。
休日については、週に何日休めるのか、繁忙期(年末年始・GW・お盆)に休みが減ることがあるのかを確認しましょう。たとえば「月8日休み」と書かれている場合でも、閑散期はしっかり休めても、繁忙期はほぼ出勤になる旅館もあります。
面接で確認したい中抜け勤務の実態
面接では、「1日の仕事の流れを教えてください」と聞くことで、中抜け勤務の有無や空き時間の長さを確認できます。朝は何時から働き、昼の休憩はどのくらいあるのかがわかると、実際に働いた際のイメージをつかめます。
また、空き時間の過ごし方や外出の可否についても確認しておくと安心です。働き方について説明が少ない場合は、遠慮せずに質問しましょう。
担当する仕事の内容や住み込み条件を確認する
「自分の担当以外に、どのような仕事を任されることがありますか」と聞くと、実際の働き方をイメージしやすくなります。
たとえば、清掃や配膳も担当するのか、それとも忙しい時だけ手伝うのかによって、一日の忙しさには大きな差が出ます。
住み込みを希望する場合は、個室か相部屋か、食事の提供があるか、外出の自由度、休日の過ごし方に制限があるかを確認しておきましょう。
一方、通勤を考えている場合は、自宅から無理なく通える距離かどうかも確認しておくことが大切です。
よくある質問
未経験でも旅館の正社員になれる?
なれます。旅館の正社員採用では、未経験者を歓迎している求人も多く見られます。
働き始めてから仕事を覚えられるよう、研修期間を設けている旅館も少なくありません。
ただし、繁忙期は早い段階で現場に入ることもあるため、研修の内容や期間は応募前に確認しておくと安心です。
英語ができなくても働ける?
働けます。国内の旅館は日本人のお客様が中心のため、英語ができなくても応募できる求人が多くあります。
ただし、外国人のお客様が多い旅館では、簡単な英語で案内をする場面もあります。英語を使う機会がどのくらいあるかは旅館によって異なるため、求人票や面接で確認しておくとよいでしょう。
旅館とホテルはどちらが働きやすい?
求める働き方によって向き・不向きは変わります。
担当する仕事が決まった環境で働きたい人にはホテルが向いています。一方、一組のお客様とじっくり関わる接客がしたい人には旅館が向いているでしょう。
仕事内容や勤務時間の違いを理解したうえで、自分に合った働き方を選んでください。
まとめ
旅館の正社員が「きつい」と言われる理由には、勤務時間の特徴や担当業務の幅広さ、住み込み勤務ならではの生活環境があります。
旅館の仕事は決して楽ではありませんが、働き方が自分に合っていれば長く続けやすい仕事です。生活リズムが不規則でも苦になりにくい人や、一組のお客様とじっくり関わる接客が好きな人には向いているでしょう。
反対に、毎日決まった時間に働きたい人や、一つの仕事に集中したい人は、旅館の働き方が本当に自分に合うかどうかを慎重に考えた方がよいでしょう。
応募前には、実際の勤務時間や一日の流れ、どのような仕事を担当するのか、住み込みの場合はどのような生活になるのかを確認しておきましょう。
旅館ならではの働き方を理解したうえで、自分に合う仕事かどうかを判断することが大切です。
参考資料・出典
※記事内で紹介した仕事内容や働き方は、一般的な旅館をもとに解説したものです。実際の仕事内容や勤務時間は、旅館の規模や運営方針によって異なる場合があります。

