「地方へ移住したいけれど、移住先で仕事が見つかるか不安」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、仕事付きの移住プランの活用です。職場周辺の住まいや引っ越しの補助がある就職先を選んだり、移住補助制度を利用したりすれば、移住のハードルは下げられます。
この記事では仕事付き移住の選択肢や求人の探し方、失敗しないポイントまで解説するので、移住に興味がある方はぜひ参考にしてください。
仕事付きで移住する生活とは
仕事付きの移住とは転職と同時に職場周辺への引っ越しが叶う働き方です。まずは仕事付き移住の特徴と、注目されている背景を確認しましょう。
- 仕事付き移住の定義
- 住み込み・寮付き求人との違い
- 仕事付き移住が注目されている理由
仕事付き移住の定義
「仕事付き移住」は法律上の正式な用語ではありませんが、一般には、移住先で仕事を確保してから転居することや、仕事探しと移住準備を並行して進めることを指します。
住みたい地域があっても、仕事を辞めてから移住すると、慣れない土地で求職活動を始めなければなりません。転職先が決まるまで時間がかかれば、貯金を切り崩して生活することになります。
移住前に転職先を確保しておけば、無収入の期間を短くし、仕事や生活への不安を抑えながら新生活を始められます。
住み込み・寮付き求人との違い
仕事付きの移住と聞くと、住み込みや寮付きの求人と混同する方もいるでしょう。
しかし仕事付き移住とこれらの働き方は、以下のように意味合いがやや異なります。
| 働き方 | 主な意味・特徴 |
| 仕事付き移住 | 移住先での仕事を確保してから転居することや、仕事探しと移住準備を並行して進めること |
| 住み込み | 勤務先が用意・指定する、職場に併設された住居や近隣の住居で暮らしながら働くこと |
| 寮付き求人 | 従業員寮や借り上げ住宅などを利用できる求人 |
住み込みや寮付き求人は職場が用意した住居に移り住んで働く形態で、宿泊業や農業などで多く見られます。
一方で仕事付き移住は「移住と転職を同時に進めること」を指す言葉です。必ずしも従業員用の住まいを用意してくれる求人を探す必要はなく、さまざまな選択肢があります。
つまり住み込みや寮付き求人は、仕事付き移住を実現する選択肢のひとつだといえるのです。
仕事付き移住が注目されている理由
テレワークの普及や自治体による移住支援策などを背景に、地方移住が働き方・暮らし方の選択肢のひとつとして紹介される機会が増えています。
その主な理由や経緯として、以下が挙げられます。
- 都市部での生活コストの高さ
- 自然豊かな環境で子育てしたい世帯の増加
- 地域を選ばず利用できる通販やオンラインサービスの浸透
- 働き方の多様化にともなう住む場所への意識の変化
- 国や自治体による移住支援策の拡大
生活コストの高さや環境、場所を選ばず利用できるオンラインサービスの拡大による利便性の向上など、地方へ移住する魅力はさまざまです。
これらの理由から地方移住に興味を持ち「仕事さえ確保できれば移住したい」と考える方も増えつつあります。
移住を仕事付きで実現する魅力
仕事付き移住には経済的なメリットから生活面の充実まで、さまざまな魅力があります。ここでは5つの観点から仕事付きで移住する魅力について見ていきましょう。
- 引っ越しや新生活と同時に仕事を始められる
- 家賃や引っ越しの初期費用を節約できる
- リゾートや観光地への移住も検討できる
- 仕事を通じて地域になじみやすい
- 移住支援金や補助金の対象となるケースもある
引っ越しや新生活と同時に仕事を始められる
仕事付き移住を実現する主なメリットのひとつは、転居してすぐに働けて収入を確保できる点です。
移住後に仕事を探すと就職先が決まるまで収入がなく、精神的な不安も積み重なります。だからといって急いで仕事を探せば、ミスマッチにより早期退職につながるリスクもあり、後悔のない移住には慎重な仕事探しも重要です。
一方で移住前に転職先を確保しておけば、引っ越しと同時に仕事を始められて、先の見えない収入の空白期間が生まれません。
新しい土地での生活に慣れることに集中でき、精神的なゆとりを持って新生活を楽しめるでしょう。
家賃や引っ越しの初期費用を節約できる
寮や社宅を利用できる求人では、入居費用を抑えられる場合があります。
家賃が無料または割安なケースもあります。毎月の固定費を減らせる点がメリットです。
ただし、寮費や保証金がかかることもあります。光熱費や退去費用を求められる場合もあります。入居前に、費用の負担条件を確認しましょう。
引っ越し費用について、補助制度を設けている職場もあります。
引っ越し費用や住居費の補助を活用し、費用を抑えて興味のある地域へ移り住めることも、仕事付き移住の魅力です。
リゾートや観光地への移住も検討できる
寮や社宅、住み込み用の住居が用意されている職場がある業界として、ホテル・旅館などの宿泊業界が挙げられます。
ホテルや旅館は観光地や温泉地・リゾート地などの周辺にも多く、景観や自然環境に恵まれた地域へ移り住む選択肢も広がるでしょう。
代表的な例として、以下の地域が挙げられます。
- 北海道のスキーリゾート
- 沖縄の離島やビーチ周辺
- 九州の温泉地(別府・湯布院など)
旅行をきっかけに地域の自然や文化に魅力を感じ、移住を検討するケースもあります。
地域の環境や観光地を楽しみながら新生活ができるのも、仕事付き移住の醍醐味です。
仕事を通じて地域になじみやすい
見知らぬ土地への移住では、孤立感を覚える方は多いでしょう。しかし仕事付き移住であれば、移住支援や職場のコミュニティを通じて地域になじみやすいのも魅力です。
- 引っ越し直後から職場で人と関われる
- ホテルなど同僚や利用者と関わる機会が多い仕事を探しやすい
- 移住支援制度を通じて地域のコミュニティに参加できる
仕事を通じて人との接点を持てれば、生活に必要な情報を得たり、地域とのつながりをつくったりしやすくなる可能性があります。
初めての移住や知り合いが1人もいない土地での生活に不安がある方にとっても、仕事付き移住は選択肢のひとつです。
移住支援金や補助金の対象となるケースもある
地方への移住を促すため、国や自治体は支援制度を設けています。
国の地方創生移住支援事業も、そのひとつです。対象者は、東京23区に在住していた人などです。東京圏から23区へ通勤していた人も含まれます。
対象自治体へ移住し、就業や起業などの要件を満たすと、支援金を受け取れる場合があります。
対象地域や支給額、要件は自治体ごとに異なります。移住を計画する際は、転居先の制度を事前に確認しましょう。
仕事付き移住でおすすめの職種
仕事付きで移住できる職種や働き方にはさまざまな選択肢があります。それぞれの特徴を知ったうえで、自分に合った働き方や移住の形を見つけましょう。
- ホテル・旅館などの宿泊業
- 農業
- 工場・製造業
- 建設・土木業界
- 移住と同時に独立や起業する方法も
ホテル・旅館などの宿泊業
仕事付き移住の選択肢のひとつが、ホテル・旅館などの宿泊業です。
ホテルや旅館は全国の観光地や温泉地にあり、寮や社宅・住み込み施設が用意されている求人が充実しています。職種もフロントスタッフから調理担当、清掃スタッフまで幅広く、未経験者を歓迎する求人も豊富です。
入職後はホテルや旅館で働きながら接客スキルや語学力を磨けて、業界でのキャリアアップも目指せます。
家賃補助制度や寮を利用することで、住居に関する費用を抑えながら働けます。生活基盤をすぐに安定させたいと考えている方におすすめの業界です。
農業
地方移住向けの職種として農業が挙げられます。移住して農業に携わる主な方法は、以下の2つです。
- 住み込みや家賃補助がある農業法人などの求人に応募する
- 地域の農地付き移住プランを利用する
住まい補助のある農家に就職するほか、地域の農地付き移住プランを活用して、移住と同時に農業を始める選択肢もあります。
雇用就農や独立就農に対する研修・資金支援を設けている地域もあります。ただし、対象年齢や就農計画などの要件があるため、利用できる制度を事前に確認しましょう。
工場・製造業
工場は地方に建てられていることが多く、工場内での製造・管理に関わるスタッフを寮完備で募集する求人も豊富です。
体力仕事が中心ですが、未経験から採用されるケースが多く、転職のハードルは低い傾向にあります。
シフト制で収入が安定しやすいですが、寮費が給与から天引きされる職場もあるため、寮費の金額や会社からの補助、給与からの天引きの有無を確認しましょう。
建設・土木業界
建築や土木業界は全国各地で仕事があり、地域を問わず仕事を探しやすいのが強みです。
遠隔地の工事や長期出張を伴う求人では、現場近くの宿舎や借り上げ住宅が用意される場合があります。
特に施工管理技士などの資格や関連する実務経験があれば、応募できる求人が広がったり、資格手当の対象になったりする場合があります。
移住と同時に独立や起業する方法も
仕事付き移住の選択肢は、転職だけにとどまりません。フリーランスとして独立したり、移住先で起業したりする選択肢もあります。
地方へ移住して独立・起業する例として、以下が挙げられます。
- 場所を問わないリモートワークで働きながら移住する
- 地元食材を使った飲食店を開業する
- 地域体験を提供する観光事業を立ち上げる
場所を問わずリモートで働けるフリーランスであれば、仕事が軌道に乗ったところで地域に移り住むのもよいでしょう。
一方で起業する場合は収入が安定するまで時間がかかるケースもあります。そのため最初は移住サポートのある職場に転職して、生活基盤を整えてから独立を目指すのも選択肢のひとつです。
自治体によっては起業支援や補助金制度を用意しているところもあるため、移住前に要件を確認し、利用できる場合は活用してください。
仕事付きで移住できる求人の探し方
仕事付き移住を実現するには、求人の探し方が重要です。ここでは仕事付きで移住する際に活用したい求人探しの方法を3つ紹介します。
- 求人サイトを活用して条件で絞り込む
- 自治体の移住支援制度を調べる
- 挑戦したい業界に特化した転職エージェントを利用する
求人サイトを活用して条件で絞り込む
一般的な求人サイトでも以下の条件で求人を絞り込めば、移住と同時に働ける仕事を探せます。
- 寮付き
- 住み込み
- 社宅あり
- 家賃補助あり
移住したい都道府県や地域と職種を組み合わせて検索すれば、経験のある職種や興味のある職種で、求人を効率よく探せます。
特にホテルや宿泊業などでは業界専門の求人サイトもあるため、専門サービスも活用して自分に合った求人を探してください。
自治体の移住支援制度を調べる
自治体によっては、独自の移住支援制度があります。移住先が決まっている場合は、自治体の窓口を確認しましょう。
地域おこし協力隊として移住する方法もあります。自治体の委嘱や任用を受け、地域活動に取り組む制度です。
雇用形態や報酬、活動内容、任期は自治体ごとに異なります。任期後の仕事が保証される制度でもありません。応募前に募集要項をよく確認しましょう。
地域課題の解決に関わりながら、住民とのつながりも築けます。地域づくりに興味がある人に適した選択肢です。
挑戦したい業界専門の転職エージェントを利用する
就きたい職種や業界が明確であれば、その業界に特化した転職エージェントへ相談するのもおすすめです。
業界特化の転職エージェントを活用すれば、求人サイトには掲載されていない非公開求人を紹介してもらえる場合もあります。
また移住を前提とした転職先探しを相談すれば、求人探しのコツや地域の雰囲気など、求人だけではわからない情報のアドバイスももらえるでしょう。
面接対策や条件交渉も一括してサポートしているため、初めて転職・移住を考えている方にも役立つ選択肢です。
仕事付き移住で失敗しないための注意点
移住と転職を同時に進める方法には落とし穴もあり、慎重に進める必要があります。あらかじめ確認しておくべき注意点も押さえて、後悔のない移住を目指しましょう。
- 職場環境や労働条件は必ず事前に確認する
- お試し移住や現地訪問で雰囲気をつかむ
- 退職や引っ越しはスケジュールを逆算して進める
職場環境や労働条件は必ず事前に確認する
特に住み込みや寮・社宅付きの求人では、仕事と住まいが一体になっています。職場環境が合わず早期退職することになれば、同時に引っ越しも余儀なくされます。住まいと仕事を同時に失うリスクがあるため、入職前に職場の雰囲気や労働条件を慎重に確認しましょう。
確認するうえで注目すべきポイントとして、以下が挙げられます。
- 給与形態や金額
- 寮の設備や費用負担
- 休日数や残業の実態
職場の雰囲気や労働条件は求人票だけではわからないため、面接の段階で直接確認しましょう。
口コミサイトや転職エージェントからの情報も参考にして、慎重に職場を選ぶことが大切です。
お試し移住や現地訪問で雰囲気をつかむ
移住先が自分に合うかどうかは、実際に訪れてみなければわかりません。
そこで可能な限り移住前に短期間の滞在や現地訪問をして、以下のポイントを自分の目で確かめましょう。
- 地域の気候や環境
- 交通の利便性
- 買い物環境
- 住民の雰囲気
自治体によっては、お試し移住プログラムや短期滞在用の住居を用意しているところもあります。
旅行で訪れる場合と実際に住む場合とでは、地域の見え方が異なることがあります。実際に住むことを前提に地域の情報を集めるのが大切です。
退職や引っ越しはスケジュールを逆算して進める
仕事付きで移住するには、移住後の生活だけでなく退職や引っ越しなど、以下の手続きや準備も順を追って進める必要があります。
- 今の仕事を退職する
- 引っ越し準備を進める
- 今の住まいを解約・退去する
- 移住先へ引っ越す
- 入職する
移住先の仕事が決まったら、入職日から逆算して準備を進めましょう。
期間の定めがない雇用契約では、原則として退職の申入れから2週間が経過すると雇用契約が終了します。
ただし、就業規則に手続きが定められている場合もあります。内容を確認し、早めに退職を申し出ましょう。
引き継ぎや引っ越しの日程も考慮が必要です。有期契約の場合は、契約途中の退職条件も確認しましょう。
退去日と新居の入居日がずれる場合もあります。その際は、一時的な宿泊先を確保します。
余裕のあるスケジュールを組み、計画的に準備しましょう。
仕事付きで移住するときのよくある質問
仕事付きで移住するなら知っておきたいことを、よくある質問形式でまとめました。
- 未経験でも移住して仕事はできますか?
- 移住にかかる初期費用はどれくらいですか?
- 移住後に仕事が合わなければどうすればよいですか?
- 家族と一緒に移住できますか?
未経験でも移住して仕事はできますか?
未経験でも仕事付き移住は目指せます。
特にホテル・旅館などの宿泊業や製造業には、未経験者を歓迎する求人もあります。経験がなくても研修からスタートできる求人が豊富です。
転職エージェントを活用すれば未経験歓迎の職場も効率よく探せるほか、志望動機や自己アピールのコツも教えてもらえます。「未経験だから無理」とあきらめず、まずは相談したうえで、自分の条件に合った職場探しから始めましょう。
移住にかかる初期費用はどれくらいですか?
移住の初期費用は、移動距離、荷物量、住居の契約条件、家具・家電の有無によって大きく異なります。寮・社宅を利用する場合は10万円台に抑えられることもありますが、自分で賃貸住宅を契約する場合は、数十万円以上必要になる可能性があります。
| 項目 | 費用目安 |
| 引っ越し費用 | 5〜30万円 |
| 賃貸契約費用(敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保証料など) | 0〜50万円以上 |
| 家具・家電の購入費 | 5〜50万円以上 |
特に自分で住まいを探して契約する場合は、敷金・礼金や不動産会社の仲介手数料などがかかります。しかし寮や社宅を利用できる仕事であれば、敷金・礼金などの初期費用を抑えて移住できるでしょう。
地域によっては移住者向けの補助・支援制度もあるため、移住にかかる費用に補助金を充てるのも選択肢のひとつです。
移住後に仕事が合わなければどうすればよいですか?
移住後に職場環境や仕事内容が合わないと感じたら、まず上司や人事に相談しましょう。
配置転換や業務内容の見直しで、状況が改善する場合もあります。
改善が難しい場合は、地域内での転職も選択肢です。生活環境や交通事情への理解は、仕事探しに役立ちます。
ただし、地域によっては求人が限られます。退職前に求人状況を確認しましょう。住居を確保できるかも確認が必要です。
寮や社宅に住んでいる場合は、退職後の転居も必要です。家賃補助や寮がある求人を探す方法もあります。
家族と一緒に移住できますか?
家族と一緒に仕事付きで移住できる求人も探せます。
ただし寮や社宅は単身者を想定して用意している職場が多く、家族全員で住める職場は限られる点に注意が必要です。求人選びの段階で家族全員で入居できるか、必ず確認しましょう。
家族全員で移住するのであれば、以下の方法がおすすめです。
- 移住者向けの空き家バンクサービスを活用する
- 移住支援金制度がある自治体を選ぶ
- 子育て世帯の移住に力を入れている自治体を選ぶ
特に子どもがいる世帯なら、移住支援金のほか子育て支援を受けて移住後の生活負担を減らす方法もあります。家族全員の生活環境や暮らし方をしっかりと確認したうえで移住先を選ぶのが、成功のコツです。
仕事付きで移住するなら宿泊業への転職もおすすめ
仕事付きで移住するなら、宿泊業への転職はおすすめの選択肢です。
ホテルや旅館は全国の観光地に存在し、寮や社宅・家賃補助制度が用意された求人も多く見られます。未経験でも採用されやすく、入社後に接客スキルを磨きながら地方での暮らしを楽しめるでしょう。
ただし自分に合う職場を選ぶには求人情報だけでなく、現場の実態を知る必要があります。そこで活用したいのが宿泊業専門の転職エージェントです。
宿泊業界に特化した専門エージェントに相談すれば、移住歓迎の求人を効率よく探せるほか、求人紹介や面接対策などの支援を受けられます。転職と移住を同時に実現したい方は、お気軽に転職エージェントにご相談ください。

