ツアーコンダクターの年収は、雇用形態や経験、担当ツアー、添乗日数によって変わります。本記事では、公的データをもとに年収の目安や給料の仕組み、収入に差が出る理由、年収を上げる方法を解説します。
ツアーコンダクターの年収・給料の目安
ツアーコンダクターの年収を考えるときは、平均年収だけでなく、実際にどのような仕組みで給料が支払われるのかも確認することが大切です。
公的データから見る平均年収
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」では、ツアーコンダクターの年収は402.7万円と紹介されています。
この数字は、厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにしたデータで、2026年時点で確認できる最新のものです。
ただし、402.7万円はツアーコンダクターだけを調べた平均年収ではありません。ツアーコンダクターが含まれる「添乗員、観光案内人」などの仕事をまとめた数字です。
そのため、「ツアーコンダクターなら平均で402.7万円もらえる」という意味ではなく、年収を考えるときの目安として見ておきましょう。
社員と派遣・登録型では給料の仕組みが違う
ツアーコンダクターの給料の仕組みは、働き方によって違います。厚生労働省の「job tag」によると、旅行会社の社員は月給に添乗した日数分の日当が加わるのが一般的です。
一方、派遣会社に登録して働く場合は、原則として日給で支払われます。
働き方による給料の違いを、次の表に整理しました。
【働き方による給料の違い】
| 働き方 | 給料の仕組み | 特徴 |
| 旅行会社の社員 | 月給+添乗日当 | 毎月の月給があり、添乗した日数に応じて日当が加わる |
| 派遣・登録型 | 原則として日給 | 添乗した日数によって収入が変わりやすい |
このように、同じツアーコンダクターでも、社員と派遣・登録型では給料の仕組みが異なります。求人を見るときは、金額だけでなく、どのような仕組みで給料が支払われるのかも確認しましょう。
ツアーコンダクターの年収が変わる5つの条件
ツアーコンダクターの年収は、働き方や仕事の条件によって大きく変わります。
年収に関係する主な条件を、次の表にまとめました。
【ツアーコンダクターの年収に関係する5つの条件】
| 条件 | 年収との関係 |
| 働き方 | 正社員と派遣・登録型では給料の仕組みが異なる |
| 国内・海外 | 海外添乗は1日あたりの金額が高くなる場合がある |
| 経験・評価 | 経験や会社からの評価によって担当できる仕事が変わる |
| 添乗日数 | 特に日給制では、年間の添乗日数が年収に影響する |
| 手当 | 時間外・深夜・前後泊などの手当によって収入が変わる |
それぞれの条件について、詳しく見ていきましょう。
1.正社員か派遣・登録型か
正社員と派遣・登録型では、年間収入の安定性に違いがあります。正社員は毎月の月給があるため、収入の見通しを立てやすい働き方です。
一方、派遣・登録型は添乗する日数によって、月ごとの収入に差が出やすくなります。
どちらのほうが年収が高いとは一概にいえません。働き方を選ぶときは、年収の金額だけでなく、安定した収入を得られるかどうかも考えることが大切です。
2.国内添乗か海外添乗か
国内添乗と海外添乗では、1日あたりの金額や仕事で求められる知識などに違いがあります。日本添乗サービス協会(TCSA)が紹介している金額の目安とあわせて比較します。
【国内添乗と海外添乗の違い】
| 項目 | 国内添乗 | 海外添乗 |
| TCSAが紹介する1日の金額 | 7,000~12,000円ほど | 8,000~25,000円ほど |
| 求められる知識・力 | 国内旅行に必要な案内や対応 | 語学力、出入国の手続き、訪問する国の法律や習慣などの知識 |
ただし、TCSAのページではこの金額の調査時点や更新時期を確認できないため、最新の相場として捉える際には注意が必要です。
海外添乗は1日あたりの金額が高くなる場合がありますが、海外ツアーを担当しただけで年収が高くなるわけではありません。
3.経験や会社からの評価
添乗の経験や能力、旅行会社からの評価なども、賃金に差が出る要素の一つです。TCSAによると、こうした要素を参考に派遣会社が賃金を決めています。
ただし、経験年数に応じて給料が一律に上がる共通の仕組みがあるわけではありません。何を評価して給料に反映するのかは会社によって違います。
4.年間に添乗する日数
特に派遣・登録型では、年間に何日添乗するかによって年収が大きく変わります。日本添乗サービス協会(TCSA)によると、添乗を主な仕事にする場合、年間180日ほどの添乗が一つの目安です。
このほかに、ツアー前の打ち合わせや終了後の精算などを行う日もあります。
ただし、年間180日はあくまで目安です。実際に添乗できる日数は、会社や旅行の予約状況などによって変わります。
また、厚生労働省の「job tag」では、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始などは仕事が増えやすい時期とされています。そのため、派遣・登録型では、年間を通して同じように仕事があるとは限りません。
5.時間外・深夜の割増賃金や前後泊などの手当
割増賃金や各種手当も、年収に影響します。
法定労働時間を超える時間外労働や深夜労働には、労働基準法に基づく割増賃金が適用されます。一方、前泊・後泊や食事、打ち合わせ、精算などに対する手当の有無や金額は会社によって異なるため、求人や労働条件を確認しましょう。
ただし、どのような手当があるのか、いくら支払われるのかは会社によって違います。
ツアーコンダクターの年収は低い?高収入例の見方
ツアーコンダクターの年収が高いか低いかを判断するときは、金額だけを見るのではなく、その収入を得るための働き方や条件まで確認することが大切です。
年収が低いと言われる理由
特に派遣・登録型のツアーコンダクターは、仕事が多い月と少ない月があり、添乗日数や時期によって収入が変動しやすい働き方です。
また、添乗の前後には打ち合わせや精算などの仕事もあります。こうした仕事に対していくら支払われるかは会社によって違うため、添乗するときの日給だけでは実際の収入を判断できません。
また、健康保険や厚生年金の加入対象になるかどうかは、所定労働時間や所定労働日数、勤務先の規模などの法定要件によって異なります。仕事を選ぶときは、年収だけでなく、社会保険の適用を含む労働条件も確認しましょう。
高年収の例は条件まで確認する
ツアーコンダクターの中には、高い年収を得ている人もいます。阪急トラベルサポート東京支店の公開情報では、10日間のヨーロッパツアーに年24回添乗した場合、年収は約600万円になる例が紹介されています。
ただし、誰でも600万円を得られるという意味ではありません。この例は、10日間のヨーロッパツアーを年間24回担当するという条件で計算されています。
実際の金額は、働く地域や経験・評価、担当するツアーなどによって変わります。
高い年収の例を見るときは、金額だけではなく、どのようなツアーを年間何回担当した場合の数字なのかまで確認しましょう。
ツアーコンダクターが年収を上げる4つの方法
ツアーコンダクターが年収を上げたい場合は、今の働き方を続けるだけでなく、収入を増やすためにできることを考えてみましょう。
1.経験を積んで担当できるツアーを増やす
年収アップを目指すなら、まずは勤務先に、どのような経験や力が評価されるのかを確認してみましょう。あわせて、今より給料の高いツアーを担当するために必要な条件を聞いておくと、目標を決めやすくなります。
必要な経験やスキルがわかったら、自分に不足しているものを整理し、優先順位をつけて身につけていきましょう。
2.語学力や対応力を身につける
海外添乗を含め、担当できるツアーを増やしたい場合は、必要な知識やスキルを身につけることも大切です。海外添乗では語学力だけでなく、出入国の手続きや訪問する国の法律、習慣などの知識も必要になります。
また、予定の変更や旅行中のトラブルに落ち着いて対応する力も必要です。必要な力を身につけ、担当できる仕事を少しずつ増やしていきましょう。
3.より収入の高い会社や働き方を選ぶ
今の勤務先で年収アップが難しい場合は、ほかの会社や働き方も比較してみましょう。同じツアーコンダクターでも、給料や仕事の量、手当などは会社によって違います。
今の会社だけで考えるのではなく、ほかの求人も確認してみましょう。これまでの経験を生かして、今より収入を増やせる会社が見つかる可能性があります。
4.添乗経験を生かして宿泊業への転職も考える
転職先をツアーコンダクター以外の仕事まで広げて考えることも、一つの方法です。添乗の仕事で身につけた接客力や宿泊施設との調整力、予定変更への対応力は、ホテルや旅館でも生かせます。
今の仕事では希望する収入や働き方を実現するのが難しいと感じているなら、添乗の経験を生かせる宿泊業も転職先の一つとして考えてみましょう。
ツアーコンダクターの仕事内容と必要な資格
ツアーコンダクターは旅行中のお客様をさまざまな業務で支え、担当する役割によっては資格も必要です。
旅行の日程を管理し、お客様を支える仕事
ツアーコンダクターは「添乗員」とも呼ばれ、旅行会社などが用意したツアーに同行して、お客様が予定に沿って旅行できるように支える仕事です。
主な仕事には、お客様への案内や人数の確認、交通機関や宿泊施設との連絡・調整などがあります。交通機関の遅れやお客様の体調不良など、予定外の出来事が起きたときの対応も大切な仕事です。
そのため、ツアーコンダクターには接客力に加え、関係者との調整力や突発的な出来事への対応力も求められます。
主任として添乗するには旅程管理主任者の資格が必要
旅行会社が実施する企画旅行に同行し、旅程管理業務を行う主任者となるには、旅程管理主任者の資格要件を満たす必要があります。そのためには、所定の研修を受け、添乗経験などの条件を満たさなければなりません。
旅程管理主任者には、国内旅行を対象とする「国内旅程管理主任者」と、国内・海外の両方を対象とする「総合旅程管理主任者」の2種類があります。
ただし、添乗の仕事をする人すべてに、この資格が必要というわけではありません。企画旅行で旅程管理業務を行う主任者として添乗する場合に必要となる資格です。
年収で後悔しない求人の選び方
求人を選ぶときは、記載された給与だけで判断せず、実際にどの程度の収入を見込めるかまで比較することが大切です。
求人票で確認したい給与・勤務条件
求人を選ぶときは、月給や日給の金額だけでなく、実際にどのくらい働けるのか、どのような手当があるのかまで確認することが大切です。
求人票の記載と最終的な労働条件が異なる場合もありますが、変更がある場合は、労働契約を結ぶ前にその内容が明示される必要があります。採用時には、給与や勤務時間などの労働条件を書面などでも確認しましょう。
特に確認しておきたいポイントを、次の表にまとめました。
【求人票で確認したいポイント】
| 確認する項目 | 確認する内容 | 確認する理由 |
| 給料 | 月給・日給の金額や内訳 | どのように給料が決まるのかを知るため |
| 仕事の日数 | 年間にどのくらい添乗できるか、仕事が少ないときの保証があるか | 実際の年収を考えるため |
| 手当 | 時間外・深夜・前後泊などの手当 | 基本の給料以外に支払われる金額を知るため |
| 添乗以外の仕事 | 打ち合わせや精算をしたときの給料 | 添乗しない日の仕事にも給料が支払われるかを知るため |
| 社会保険 | 加入対象となる条件 | 安心して働ける条件が整っているかを見るため |
| 休日 | 休日の日数や取り方 | 希望する働き方ができるかを見るため |
| 仕事内容 | 国内・海外など、担当するツアーの種類 | 希望する仕事と合っているかを見るため |
求人票だけではわからないことは、応募先へ確認しましょう。採用時には「労働条件通知書」も確認し、求人票の記載と相違がないか確かめることが大切です。
自分の経験と希望する働き方を整理する
求人を探す前に、これまでの経験と、これからどのように働きたいのかを整理しておきましょう。担当したツアーの種類や接客経験、トラブルへの対応経験などを書き出すと、自分の強みがわかりやすくなります。
あわせて、希望する収入や休日、働く日数なども考えておくことが大切です。
今の仕事だけでは希望をかなえるのが難しい場合は、ツアーコンダクターとして転職するだけでなく、これまでの経験を生かせるホテルや旅館の求人も比べてみましょう。
添乗経験を生かして宿泊業へ転職するなら、業界に詳しい転職エージェントへ相談しよう
ツアーコンダクターとして身につけた接客力や調整力、急なトラブルへの対応力は、ホテルや旅館でも生かせます。
今の収入や働き方に悩んでいるなら、ツアーコンダクターだけに絞らず、宿泊業まで転職先を広げて考えてみましょう。
ただし、ホテルや旅館にはさまざまな仕事があり、給与や休日、勤務時間なども求人によって違います。また、添乗経験のどの部分が評価されるのか、自分だけでは判断しにくいこともあります。
自分に合う仕事を一人で見極めるのが難しい場合は、宿泊業に詳しい転職エージェントへ相談してみましょう。これまでの経験や希望する収入、働き方を伝えることで、自分の強みを生かせる仕事について相談できます。
求人票だけではわかりにくい情報を確認しながら、自分に合った転職先を探せる点もメリットです。
「今より収入を上げたい」「添乗経験を生かして新しい仕事に挑戦したい」と考えている人は、まずは宿泊業に詳しい転職エージェントへ相談して、自分にどのような選択肢があるのか確かめてみましょう。
よくある質問
ツアーコンダクターの年収に男女差はありますか?
ツアーコンダクターだけを対象にした男女別の公的な年収データは確認できないため、男女でどのくらい差があるのかを正確に比べることはできません。
年収を比べるときは、性別よりも、働き方や経験、担当するツアー、年間に添乗する日数などを見ることが大切です。
男女別の平均年収が紹介されている場合は、ツアーコンダクターだけの数字なのか、ほかの仕事を含む数字なのかも確認しましょう。
未経験のツアーコンダクターでも年収を上げられますか?
未経験から始めても、経験を積んで担当できる仕事を増やすことで、年収アップを目指すことはできます。
求人を選ぶときは、最初の給料だけでなく、研修を受けられるか、経験を積んだ後にどのようなツアーを担当できるのかも確認してみましょう。
長く働くことを考えるなら、入社時の給与額だけでなく、その後に収入を上げられる仕組みがあるかも確認しましょう。
ツアーコンダクターは英語が話せないと海外添乗できませんか?
海外添乗では語学力が必要になる場合がありますが、求められる力は担当するツアーや勤務先によって異なります。
海外では英語を話す力だけでなく、空港やホテルなどで必要な手続きを進めたり、予定外の出来事に対応したりする力も必要です。
海外添乗を目指す場合は、「英語が話せるか」だけで判断せず、応募先がどの程度の語学力や経験を求めているのかを確認しましょう。
ツアーコンダクターの仕事に将来性はありますか?
添乗員が必要とされる旅行はありますが、仕事量は景気や災害、海外情勢などの影響を受けることがあります。
将来を考えるときは、ツアーコンダクターを続けられるかだけでなく、仕事を通して身につけた力をほかの仕事でも生かせるかという視点も大切です。
接客や予定の調整、トラブルへの対応などの経験は、ホテルや旅館をはじめ、旅行者と接する仕事でも生かせる可能性があります。
まとめ
ツアーコンダクターの年収は、働き方や経験、担当するツアーなどによって変わります。平均年収だけで判断せず、希望する収入や働き方を実現できるかも踏まえて仕事を選ぶことが大切です。
今の仕事で年収アップを目指すだけでなく、より条件の合う会社へ移ったり、これまでの添乗経験を別の仕事で生かしたりする道もあります。
お客様への対応や周りとの調整、急なトラブルへの対応といった経験は、ホテルや旅館でも生かせます。
今の収入や働き方を見直したい人は、宿泊業に詳しい転職エージェントにも相談しながら、ホテルや旅館まで転職先の選択肢を広げてみましょう。

