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ニューツーリズムとは?主な種類と国内事例を徹底解説

ホテルの窓から見える海

ニューツーリズムとは、国の観光政策で推進されてきた、テーマ性が強く、体験や交流を重視する旅行形態です。

本記事では、ニューツーリズムの定義やマスツーリズムとの違い、主な種類と国内事例、注目される背景を解説。さらに、観光庁の取り組みやSDGsとの関係、宿泊・観光の仕事とのつながりも紹介しました。

ニューツーリズムの全体像を理解し、宿泊・観光の仕事との関わりを考える参考にしてください。

目次

ニューツーリズムとは?意味と全体像を3つの視点で解説

ニューツーリズムとは、物見遊山的な観光に代わる、体験型・交流型の新しい旅行形態です。

観光庁は、これまで観光資源と気付かれてこなかった地域固有の資源を活用した旅行と説明しています。まずは、定義と全体像を3つの視点から確認します。

  1. ニューツーリズムの定義と「テーマ別観光」への流れ
  2. マスツーリズムとの違い
  3. 地域が主体となる「着地型観光」という特徴

それでは、順番に見ていきましょう。

① ニューツーリズムの定義と「テーマ別観光」への流れ

ニューツーリズムは、2007年の観光立国推進基本計画で位置づけられた言葉です。

観光庁は、地域固有の資源を新たに活用し、体験・交流の要素を取り入れた旅行と定義しています。活用する資源に応じて、エコツーリズムやグリーン・ツーリズム、産業観光などに分けられるのが特徴です。

2016年度には、ニューツーリズムの考え方を踏まえた「テーマ別観光による地方誘客事業」が始まり、共通テーマを持つ地域のネットワーク化が支援されました。その後は、ガストロノミーツーリズムやアドベンチャーツーリズムなど、個別テーマごとの施策にも展開されています。

言葉は変わっても、地域資源を生かした体験型観光という考え方に大きな変化はありません。本記事でも、この考え方全体をニューツーリズムとしてとらえます。

参考:ニューツーリズムの推進|国土交通省

② マスツーリズムとの違い

ニューツーリズムは、大人数で名所をめぐるマスツーリズムとは性格が異なります。

マスツーリズムは、戦後の所得向上や交通網の発達などを背景に広がった、大量・標準化型の観光です。旅行会社が出発地で企画する発地型が中心で、有名な観光地を効率よくめぐる旅といえます。

一方のニューツーリズムは、個人や少人数で行われることが多いものの、団体向けの体験プログラムもあります。地域での体験や交流を重視するのが特徴です。両者の違いを、以下にまとめました。

観点マスツーリズムニューツーリズム
人数大人数の団体が中心個人・少人数が比較的多い
目的名所を効率よく見る体験・交流を楽しむ
商品造成発地型の商品が多かった着地型で造成されることが多いが、発地型もある
価値定番や効率を重視その土地ならではの魅力

見る観光から、体験する観光への変化といえます。旅行者の関心が「モノ消費」から「コト消費」へ移ったことが背景にあります。

両者は対立するものではなく、地域の実情に応じて使い分けられているのです。

関連記事:マスツーリズムとは?意味・歴史・問題点と今後の観光を解説

③ 地域が主体となる「着地型観光」という特徴

ニューツーリズムを支えるのが、地域が主体となって旅行商品をつくる「着地型観光」の仕組みです。

着地型観光とは、旅行者を受け入れる地域の側が、地元の資源を生かして企画・提供する旅行にほかなりません。出発地の旅行会社が用意する発地型とは、商品づくりの主体が逆になります。

地域が主体になると、その土地ならではの体験を届けやすくなる点が利点です。地元の事業者や住民が関わるため、地域経済への還元も期待できるのが強みです。

一方で、商品化や情報発信のノウハウが地域に求められます。担い手の育成が、着地型観光を続けるうえでの課題になります。

ニューツーリズムの主な5種類|特徴と国内事例を解説

ニューツーリズムには、活用する観光資源に応じてさまざまな種類があります。

観光庁は、エコツーリズムやグリーン・ツーリズム、産業観光、ヘルスツーリズムなどを主な例に挙げています。代表的なのは、次の5種類です。

  1. エコツーリズム|屋久島(鹿児島県)
  2. グリーン・ツーリズム|青森県の農泊
  3. 産業観光(インダストリアルツーリズム)|富岡製糸場(群馬県)
  4. ヘルスツーリズム|上山市のクアオルト(山形県)
  5. 長期滞在型観光|白浜町のワーケーション(和歌山県)

それぞれの特徴と代表的な事例を、順に見ていきましょう。

① エコツーリズム|屋久島(鹿児島県)

エコツーリズムは、自然環境の保全と学びを軸にした旅行スタイルです。

地域の自然や生態系を観察し、その価値を学びながら楽しみます。2007年に成立したエコツーリズム推進法では、自然環境の保全・観光振興・地域振興・環境教育の4つが基本理念に掲げられました。

主な特徴と国内の代表例は、次の表のとおりです。

項目内容
定義自然環境の保全と学びを軸にした旅行
主な活動自然観察、ガイドツアー、環境学習
根拠制度エコツーリズム推進法(2007年)
国内の代表例屋久島(鹿児島県・世界自然遺産)

国内の代表例が、世界自然遺産の屋久島(鹿児島県)です。屋久島では、屋久杉が生育する原生林をガイドとともに歩き、豊かな自然を楽しめます。環境省のモデル事業をきっかけに、登録・認定ガイド制度や環境保全協力金など、利用と保全を両立させる仕組みも整えてきました。

参考:屋久島国立公園のエコツーリズム|環境省

関連記事:エコツーリズムとは?意味や具体例・メリットと課題をわかりやすく解説

② グリーン・ツーリズム|青森県の農泊

グリーン・ツーリズムは、農山漁村に滞在して暮らしや農業を体験する旅です。

農林水産省は、緑豊かな農村地域で自然・文化・人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動と定義しています。漁村や離島での滞在は、ブルーツーリズムと呼ばれてきました。

主な特徴と国内の代表例を、次の表にまとめます。

項目内容
定義農山漁村に滞在し暮らしや農業を体験する旅
主な活動農作業体験、郷土料理づくり、農家民宿
所管農林水産省
国内の代表例青森県の農泊(グリーン・ツーリズム)

近年は農山漁村に宿泊する「農泊」が広がり、青森県の取り組みが代表例です。青森県では、収穫や郷土料理づくりなど、農林漁業の体験を提供しています。農家民宿に泊まれば住民との距離が近づき、地域には観光という新たな柱も加わります。

参考:「グリーン・ツーリズム」とは|農林水産省

参考:農泊(グリーン・ツーリズム)を体験してみませんか|青森県

関連記事:グリーンツーリズムとエコツーリズムの違いとは?共通点や代表的な事例をわかりやすく解説

③ 産業観光(インダストリアルツーリズム)|富岡製糸場(群馬県)

産業観光は、地域の産業や工場、産業遺産をめぐって学ぶ旅です。

稼働中の工場見学や企業の博物館、かつての工場跡や鉱山跡などが対象になります。経済産業省は、産業近代化を物語る建築物や機械を「近代化産業遺産」として認定してきました。

主な特徴と国内の代表例は、次の表のとおりです。

項目内容
定義産業・工場・産業遺産をめぐって学ぶ旅
主な対象工場見学、企業博物館、工場跡・鉱山跡
関連制度近代化産業遺産(経済産業省)
国内の代表例富岡製糸場(群馬県・世界文化遺産)

国内の代表例が、世界文化遺産の富岡製糸場(群馬県)です。明治5年(1872年)に設立された日本初の本格的な器械製糸工場で、2014年に世界文化遺産へ登録されました。操業当時の建物が残り、ガイドや音声案内を通じて、ものづくりの歴史と価値を学べます。

参考:近代化産業遺産|経済産業省

参考:世界遺産 富岡製糸場|群馬県

④ ヘルスツーリズム|上山市のクアオルト(山形県)

ヘルスツーリズムは、健康の維持・増進や療養を目的とする旅です。

古くから続く湯治をはじめ、ウォーキングやヨガ、健康的な食事を通じて心身を整えます。経済産業省の事業をきっかけに、一定の基準を満たす「ヘルスツーリズム認証」も設けられました。

主な特徴と国内の代表例を、次の表にまとめます。

項目内容
定義健康の維持・増進や療養を目的とする旅
主な活動湯治、ウォーキング、ヨガ、健康的な食事
関連制度ヘルスツーリズム認証
国内の代表例上山市のクアオルト(山形県)

国内の代表例が、山形県上山市の「クアオルト」です。上山市は2008年度から、温泉や自然、食を生かした健康保養地づくりに取り組んでいます。

気候性地形療法を参考にした健康ウォーキングを中心に、宿泊や食、体験を組み合わせた複数のプログラムが「ヘルスツーリズム認証」を取得しています。

参考:ヘルスツーリズム認証|日本ヘルスツーリズム振興機構

参考:上山型温泉クアオルトとは|上山市

関連記事:ヘルスツーリズムとは?意味・種類・歴史から宿泊業の関わりまで解説

⑤ 長期滞在型観光|白浜町のワーケーション(和歌山県)

長期滞在型観光は、一つの地域に長く滞在し、暮らすように旅するスタイルです。

1週間以上滞在して生活を楽しみ、「暮らすような旅」とも呼ばれます。働き方の多様化を背景に、仕事をしながら滞在するワーケーションや二地域居住も広がってきました。

主な特徴と国内の代表例は、次の表のとおりです。

項目内容
定義一つの地域に長く滞在し暮らすように旅するスタイル
主な形態ワーケーション、二地域居住、長期滞在
関連施策二地域居住の促進(国土交通省)
国内の代表例和歌山県白浜町のワーケーション

国内の代表例が、和歌山県白浜町のワーケーションです。白浜町は2017年から県と連携し、企業向けの誘致に取り組んできました。IT企業のサテライトオフィスが集まり、長期滞在が地域での消費や交流、関係人口の創出にもつながっています。

参考:二地域居住の推進|国土交通省

参考:ワーケーション&ブレジャー 受入推進地域事例 和歌山県白浜町|観光庁

ニューツーリズムが注目される3つの背景

ニューツーリズムが注目される背景には、旅行ニーズの多様化と地域活性化への期待があります。

名所をめぐるだけの旅では満たされない人が増え、地域も新たな観光の形を求めています。主な理由は、次の3つです。

  1. 旅行ニーズの多様化とマスツーリズムの限界
  2. 地域活性化・地方誘客への期待
  3. 高付加価値なインバウンド需要の取り込み

まず、旅行ニーズの変化から確認します。

① 旅行ニーズの多様化とマスツーリズムの限界

ニューツーリズムが注目されている第一の背景は「モノ消費」から「コト消費」への価値観の変化です。

モノ消費は商品の所有に、コト消費は体験から得られる価値に重点を置く考え方です。旅行でも、定番の観光地をめぐるだけでなく、自分らしい体験を求める人が増えています。

団体旅行を中心とするマスツーリズムは効率的な一方、旅程が画一的になりやすく、多様な関心に応えにくい面があります。

個人の趣味や関心に寄り添うニューツーリズムは、こうした変化に合った旅行の形です。多彩なテーマを通じて、新たな旅行者層の誘致にもつながります。

② 地域活性化・地方誘客への期待

第二の背景は、地域活性化と地方誘客への期待です。

ニューツーリズムの多くは、その地域がもともと持つ資源を生かします。大規模な施設整備に頼らず、観光の魅力を生み出せるのが特徴です。

地域が主体となって商品をつくるため、収益や雇用が地元に残りやすくなります。住民が地域の価値を見つめ直すきっかけにもなるでしょう。

人口減少や過疎に悩む地域ほど、取り組む意義は大きいといえます。観光を通じた地域づくりの有力な手段です。

③ 高付加価値なインバウンド需要の取り込み

第三の背景は、高付加価値なインバウンド需要の取り込みです。

インバウンド(訪日外国人観光)でも、自然や文化の体験を求める旅行者が増えています。長期滞在の傾向が強い点も見逃せません。

体験に費用をかける層を取り込めれば、人数に頼らない観光が可能になります。一人あたりの消費額を高める方向は、国の観光戦略とも一致するものです。

ただし、国内客と訪日客では求めるテーマが異なる場合もあります。受け入れ側には、対象に合わせた設計が欠かせません。

観光庁によるニューツーリズム推進の2つの取り組み

ニューツーリズムは、国の観光政策として段階的に推進されてきました。

観光庁は、地域資源を観光に生かす取り組みを支援してきました。これまでの流れを2つの段階に分けて整理します。

  1. 「観光立国推進基本計画」での位置づけ
  2. 着地型観光から「テーマ別観光」への発展

はじめに、政策の出発点から見ていきます。

① 「観光立国推進基本計画」での位置づけ

出発点となったのが、2007年に閣議決定された「観光立国推進基本計画」です。

この計画で、観光庁はエコツーリズムやグリーン・ツーリズム、産業観光などの促進を掲げました。地域固有の資源を生かした旅行を、国として後押しする方針が示されたのです。

団体旅行の減少と旅行ニーズの多様化も、その背景にあります。地域主導の着地型観光を育てることが、目標に据えられました。

この方針のもとで、各地のニューツーリズムが実証事業として広げられたのです。旅行商品づくりのノウハウが、ガイドラインとして共有されています。

② 着地型観光から「テーマ別観光」への発展

その後、取り組みは「テーマ別観光による地方誘客事業」へと発展しました。

観光庁は2016年度から、食や文化財、星空観賞などの特定のテーマで地域をつなぐ事業に取り組みました。同じ資源を持つ地域がネットワークをつくり、共同で誘客を進める仕組みです。

モニターツアーや受け入れ体制づくり、情報発信などが支援されてきました。「ニューツーリズムの振興」という考え方は、この事業へと引き継がれました。

名称や枠組みは変わっても、地域資源を磨いて誘客するという狙いは変わっていません。国の継続的な後押しが、各地の取り組みを支えているのです。

参考:テーマ別観光による地方誘客事業|観光庁

ニューツーリズムのメリットと課題

ニューツーリズムには、地域に恩恵をもたらす利点と、乗り越えるべき課題の両面があります。

導入を考えるうえでは、よい面だけでなく難しさも知っておくことが欠かせません。両面を順に整理します。

  • ニューツーリズムのメリット
  • ニューツーリズムの課題

メリットから順に確認していきましょう。

ニューツーリズムのメリット

最大のメリットは、地域資源を生かして観光と地域活性化を両立できる点です。

大規模な開発に頼らず、その土地の自然や文化を体験へと変えられます。名所に集中しがちな人の流れを、地方へ分散させる効果も期待できます。

主なメリットは、次のとおりです。

  • 地域資源を生かして新たな観光価値を生み出せる
  • 体験や交流を通じてリピーターを獲得しやすい
  • 長期滞在やインバウンドで経済効果が見込める
  • 地方誘客や地域づくりにつながる

一度きりで終わらず、体験内容を季節ごとに変えるなどの工夫により、再訪につながる可能性がある点も強みです。地域での滞在や交流を重ねることで、その土地への愛着が深まる可能性もあります。

人数に頼らずに収益を確保したい地域ほど、取り組む価値があります。

ニューツーリズムの課題

一方の課題は、集客の難しさと担い手の確保です。

ニューツーリズムは対象が細かく分かれるため、一度に大人数を集めにくい傾向があります。大手旅行会社を通じた大量販売も難しく、情報発信に工夫が要ります。

主な課題は、以下のとおりです。

  • 対象が細分化され集客や販売が難しい
  • 旅行者ニーズの変化を捉えにくい
  • 地域住民の負担とモチベーションの維持
  • ガイドなど担い手の育成に時間がかかる

住民が無理なく関われるよう、負担や報酬への配慮も欠かせません。本業とのバランスを保つ仕組みが求められます。

課題を見据えて段階的に整えれば、無理なく続けられます。

ニューツーリズムとSDGsの関係

ニューツーリズムは、環境や地域社会に配慮する「持続可能な観光」と深く関わります。

地域資源を保全しながら生かす発想には、SDGsの理念と重なる部分が少なくありません。ここでは、2つの観点から関係を整理します。

  • 持続可能な観光(サステナブルツーリズム)としての側面
  • ニューツーリズムが貢献するSDGsの目標

まず、持続可能な観光との関わりから見ていきます。

持続可能な観光(サステナブルツーリズム)としての側面

ニューツーリズムは、「持続可能な観光」の考え方と重なる部分が多い旅です。

国連世界観光機関(UN Tourism)は、持続可能な観光を、環境・社会文化・経済への影響に十分配慮した観光と定義しています。訪れる人だけでなく、地域や環境の将来にも目を向ける考え方です。

ニューツーリズムは、地域固有の自然や文化を保全しながら活用します。大量送客に頼らないため、持続可能性とも両立しやすい旅です。

知床のエコツーリズムや農山漁村の農泊が、その代表例。保全と観光をともに成り立たせる工夫が、各地で重ねられてきました。

参考:観光と持続可能な開発目標(SDGs)|UN Tourism駐日事務所

ニューツーリズムが貢献するSDGsの目標

ニューツーリズムは、SDGsの複数の目標に貢献すると考えられる旅です。

観光は、経済成長と雇用の「目標8」、持続可能な生産と消費の「目標12」、海洋資源の「目標14」で役割が明記されています。UN Tourismは、観光がすべての目標の達成に直接・間接に関わり得るとの立場です。

種類別に見ると、エコツーリズムは自然環境の保全に、グリーン・ツーリズムや産業観光は地域経済や雇用に貢献するといえるでしょう。健康をテーマにするヘルスツーリズムは、人々の健康と福祉にもつながります。

国内でも、観光庁が「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」を2020年に策定しました。地域が環境・経済・社会・文化に配慮して観光を進める指標として活用されています。

参考:日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)|観光庁

ニューツーリズムと宿泊・観光業に関わる3つの仕事

ニューツーリズムの広がりは、宿泊・観光の現場に新しい役割と需要を生み出しています。

商品づくりから受け入れまで、関わる仕事は多岐にわたります。代表的なのは、次の3つの役割です。

  1. 着地型旅行商品づくりとDMO(観光地域づくり法人)の役割
  2. 宿泊施設に求められる地域連携
  3. 地域の魅力を伝える人材へのニーズ

それぞれの役割を、順に見ていきましょう。

① 着地型旅行商品づくりとDMO(観光地域づくり法人)の役割

地域ならではの体験を旅行商品として形にするには、着地型旅行商品の造成と、DMO(観光地域づくり法人)による調整が重要です。

DMOは地域の司令塔として、事業者や行政、住民をつなぎ、地域資源の商品化や情報発信、マーケティングを担います。

そのため、着地型観光を推進する地域には、企画力や流通に関する知識が求められます。ばらばらな取り組みをまとめ、来訪者に届ける役割も欠かせません。

地域を動かす企画力や調整力を発揮したい人に合った領域です。観光で地域をつくる仕事といえます。

② 宿泊施設に求められる地域連携

農泊やロングステイなどの滞在型ニューツーリズムでは、宿泊施設も体験を構成する重要な要素です。

地域の体験プログラムと連携し、滞在全体を提案することで、旅行者の満足度向上につながります。

地元食材を生かした食事や、文化にふれる時間の演出も大きな価値です。フロントやコンシェルジュには、体験を橋渡しする力が期待されます。

宿泊の仕事でも、地域の魅力を伝える視点が活躍のカギです。

③ 地域の魅力を伝える人材へのニーズ

ニューツーリズムに欠かせないのが、地域の魅力を伝えるガイドや案内役です。

自然や文化、歴史、暮らしを物語として伝える力が、体験の質や旅の印象を左右します。語学力があれば、海外からの旅行者にも対応でき、活躍の幅が広がるでしょう。

必須資格のない仕事もありますが、分野によっては語学力や安全管理研修、ガイド資格、地域認定などが応募条件や評価の対象となります。

宿泊・観光の現場で経験を積みながら、関心のある分野の専門性を高める道もあります。

ニューツーリズムに関するよくある質問

ここでは、ニューツーリズムについて疑問に挙がりやすい点をまとめました。

基本的な言葉の意味から、仕事への入り方までを取り上げます。

ニューツーリズムとマスツーリズムの違いは?

最大の違いは、見る観光か、体験・交流する観光かという点です。

マスツーリズムは大人数で名所を効率よくめぐります。ニューツーリズムは、地域側が商品を企画・提供する着地型観光と相性がよく、各地で両者を組み合わせた取り組みが進められてきました。

ニューツーリズムにはどんな種類がある?

エコ・グリーン・産業観光・ヘルスツーリズムなど、活用する資源に応じた多様な種類があります。

長期滞在型観光や文化観光、スポーツツーリズムなども含まれます。共通するのは、テーマ性のある体験型の旅という点です。

「テーマ別観光」とは何が違う?

「テーマ別観光」は、ニューツーリズムと基本的な考え方が近い言葉です。観光庁の2016年の資料では、ニューツーリズムを「テーマ別観光の別称」と説明していました。ただし、現在の政策がすべて「テーマ別観光」という名称に統一されているわけではありません。

ニューツーリズムに関わる仕事に就くには?

商品づくりやガイドなど、関わり方に応じて求められる力が変わります。

地域づくりの側では企画力や調整力が、ガイドの側では知識や語学が強みです。宿泊・観光の現場で経験を積みながら、関心のある分野を深める道もあります。

ニューツーリズムについて解説しました

ニューツーリズムは、地域資源を生かし、体験と交流を重視する新しい旅のかたちです。

名所周遊型の観光とは異なる旅行形態として、地域主体の着地型観光と結びつきながら広がってきました。観光庁の政策では、2016年度に「テーマ別観光による地方誘客事業」へと展開され、その後は個別テーマごとの施策にもつながっています。

エコやグリーン、産業観光、ヘルスツーリズムなど種類は多彩で、各地で公的な制度に支えられた取り組みが進行中です。地域活性化や高付加価値なインバウンドという面でも期待は大きいといえます。

一方で、集客や担い手の確保といった課題も少なくありません。両面を見据えて段階的に整えることが、長く続けるためのカギを握ります。

地域の魅力を旅へと変えるニューツーリズムは、宿泊や観光の仕事をめざす人にとっても、活躍の場が広がる分野になるはずです。

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