「高卒でホテルの正社員を目指せる?」
「学歴が理由で落とされない?」
このような不安はないでしょうか。華やかで敷居が高そうに見えるホテル業界ですが、ホテルの正社員は高卒でも目指せます。ただし、企業や職種によっては大卒・専門卒などを応募条件にしている場合もあるため、募集要項の確認が必要です。
そこで本記事では、高卒からホテルの正社員になれる具体的な理由・業務内容などを解説していきます。後半では高卒の武器となる資格や面接対策までピックアップするので、ぜひ最後までご覧になってみてくださいね。
ホテルの正社員は高卒でも可能な具体的理由
まずは、高卒でもホテル正社員を目指せる理由として、「過去の経験が重視される」「適性があれば長期的な戦力になる」の2点について理解を深めていきましょう。
理由1.経験が重視される【未経験でも対策可】
ホテル業界では、学歴だけでなく、接客経験や適性、シフト勤務への対応力なども重視される傾向があります。いくら誇れる学歴があっても、ホテルの仕事に不向きであれば、採用担当者から高く評価されにくいでしょう。
比較してわかる例
- 低評価の大卒:知識はあっても無愛想でプライドが高い
- 高評価の高卒:接客経験があり、大卒でなくても愛嬌があり、向上心が高い
ここでいう経験とは接客業・キッチンなどで、アルバイトでも対象となるため、ホテル業界が未経験の高卒でも、正社員を目指せる理由になります。
理由2.適性があるほうが長期的な戦力になる
ホテル側が正社員の採用で重視するのは、その人自身の適性です。さまざまなお客様への丁寧な対応や、夜勤を伴うシフトへの順応性などが挙げられます。たとえ学歴が高い大卒でも、仕事に馴染めないなら高卒で適性がある人材の方が有利です。
また採用サイドは、ホテル業を好きになり長く腰を据えて働いてくれそうという、熱意も評価します。さらに物腰が柔らかく、前向きに質問できる姿勢があれば、ホテルは接客業務だけに限定されないため、他部署とのバランス面においても重宝されるでしょう。
ホテルの正社員の仕事内容
ホテルの正社員の仕事内容は、以下の部門に分けられることがあります。
- 宿泊部門
- 料飲部門
- 調理部門
- 営業・企画部門
- 管理(バックオフィス)部門
希望する職種がおおむね決まっている方も、今からじっくり決める予定の方も、それぞれの内容を見ていきましょう。
宿泊部門
ホテルの顔となる部署で、お客様の快適な滞在をサポートします。フロントが筆頭に浮かぶはずですが、担当範囲はさらに分類されているため把握しておきましょう。
| 名称 | 業務内容 |
| フロント・クラーク | チェックイン(アウト)・予約の確認などの窓口業務 |
| コンシェルジュ | 観光案内・レストランやチケットの手配※あらゆる要望に応えるエキスパート |
| ハウスキーパー | 客室清掃や清掃品質の確認・リネン、アメニティ、備品の管理・補充 |
| ドアマン・ベルスタッフ | お出迎え・荷物の運搬・館内の案内 |
ホテルに宿泊する機会が少なかった方でも、都心の高級ブランド店・宝飾店・高級時計店などにはドアマンが配置されていることもあるので、所作を見てイメージしておくのもよいでしょう。
料飲部門
料飲部門(F&B※)はホテルのレストラン・バーラウンジ・ルームサービスを通じ、飲食および空間を提供する部門です(※「Food(食べ物)」と「Beverage(飲料)」の頭文字を取った表現)。また料飲部門には、以下のように担当が分かれていることがあります。
| 名称 | 業務内容 |
| レストランサービス(ホール) | お客様案内・オーダーテイク(注文を伺う)・料理の配膳 |
| ソムリエ・バーテンダー | ワインやカクテルの知識を活かす接客 |
| スチュワード | 食器や銀器、什器の洗浄・管理・厨房やバックヤードの衛生管理補助 |
ソムリエには検定があるように、スチュワードは単純な洗い場とは異なる専門性があるなど、料飲部門で磨けるスキルも多彩です。
調理部門
ホテル内のレストランや宴会場、朝食のビュッフェなどで料理を作る部門です。調理師(シェフ)の担当は洋食・和食・中華や多国籍料理・ペストリー(製菓)などもあります。
調理師免許は、調理職を目指すうえで基礎知識や意欲を示す材料になります。ただし、年収は資格だけでなく経験や役職、勤務先によっても変わります。したがって、資格と経験を積むことで、キャリアの選択肢を広げやすくなります。
営業・企画部門
ホテルの魅力を社外に伝え、新規顧客化を図るための重要な部署です。ホテルの売上を左右する部署であり、多彩な役割をもつことからやりがいも十二分といえます。
| 名称 | 業務内容 |
| セールス(法人営業) | 旅行会社、一般企業にアプローチ・団体客や大型イベントの獲得 |
| 企画・マーケティング | 季節に応じた宿泊プラン、イベントを企画・SNSやWeb広告を扱ったプロモーション |
| ウェディングプランナー | 結婚式の企画と提案・式当日の進行を管理 |
近年はSNSにも軸を置いて、社内広報としての魅力的な情報を発信し、注目を集める企業も少なくないため要チェックです。トレンド分析ができるなら、ホテルにとって頼れる人材になれるからです。
管理(バックオフィス)部門
ホテルの経営や現場スタッフを支える、縁の下の力持ちとなる部署です。直接お客様と対面する機会が少ないものの、ホテルの規模が大きいほど円滑に業務を回す必要があるため重要なポジションになります。
| 名称 | 業務内容 |
| 人事 | スタッフの採用・研修の実施・労務管理 |
| 経理 | 売上管理・請求、支払い業務 |
| 事務 | 各部署のサポート・書類作成・電話応対やメール対応 |
上記のなかでも人事は、採用・研修・労務管理などを通じて現場を支える重要な部門です。
高卒でホテルの正社員になるメリット
高卒からホテル業界の正社員を目指すには、以下3つのメリットがあります。
- 早く経験を積める
- 実力で評価されやすい
- 福利厚生が充実している
これらに魅力を感じたなら向いている傾向があるといえるので、さっそく順番に確認していきましょう。
大卒よりも早く経験を積める
一般的には、高卒で就職すれば大卒者より早く現場経験を積み始められます。未経験の大卒と接客・調理経験をもつ高卒だと、採用するホテルによりますが後者を尊重してくれる企業も少なくないでしょう。
また、早くから経験を積むことで、後輩指導やリーダー業務を任される可能性もあります。早期段階で一流マナー・接客力、ひいてはマネジメントの基礎まで身につけられるのは、高校卒業後すぐに働き始める場合、高卒だからこその強みといえます。
実力で正当に判断してくれる
ホテル業界は高卒だから不可だと限定しない、能力主義の風土が根付く企業も見られます。面接では、業界への強い意欲が重視されるため、1度入社できれば高卒も大卒も大きく関係しません。
高卒でも正社員として、チーフやマネージャーなどの役職に抜擢されるチャンスがあり、学歴にかかわらず、経験や評価によって役職を目指せる企業もあります。努力がキャリアアップや昇給に反映されると、高いモチベーションを維持したまま働くことができるでしょう。
福利厚生が充実している
大手ホテルや一部の老舗ホテルでは、住宅手当や従業員食堂、系列施設の優待など、福利厚生が整っている場合があります。社員寮・食堂が使えるというのは知られていますが、ほかにも以下の利点があり注目です。
| 福利厚生の項目 | 制度の内容 |
| 自社や系列施設の優待 | 提携ホテル、レストランを社員価格で利用可 |
| 従業員食堂 | 格安もしくは無料で提供される |
| 社宅・住宅支援 | ひとり暮らしを支える社員寮の完備・家賃補助 |
| 家族手当・育児サポート | 子育て支援や家族手当の支給・産休や復帰後の支援 |
| 特別慶弔金 | 結婚や出産の祝い金・傷病時の見舞金 |
もちろん大卒者の特権ではないため、実りある福利厚生に惹かれるなら当該項目はしっかりと把握しておきましょう。
高卒でホテルの正社員になるデメリット
高卒からホテル業界の正社員を目指す際、以下3つのデメリットがネックになることがあります。
- 応募できない求人がある
- 初任給が安くなる可能性
- 望むエリアに配属されない
上記に当てはまる場合は懸念も考えられるので、注視しながら見ていきましょう。
大卒以上でなければ応募できない求人もある
大手ホテルチェーンの総合職・幹部候補や一部の職種では、大卒以上を応募条件とする求人もあります。特定の高級ホテルをターゲットにすると、いざ応募するときに障壁となるでしょう。
ただし、経験者であれば、求人票に記載されている「歓迎条件」を満たす形でアプローチできる場合もあります。視野を狭めず、広い視点でキャリアプランを立てていくことも大切です。
大卒と比較して初任給が安くなる可能性
ホテルによっては高卒と大卒で初任給のスタートラインに差が設けられています。企業ごとの給与規定によりますが、月給で数万円の開きがあると、悔しい思いをするかもしれません。
とはいえ悔しい気持ちをバネにできるなら、役職をつかみ取り手当てとベースアップで充実させることも努力によって実現できるでしょう。
希望するエリアに配属されない可能性
アルバイト・パートでは、基本的に転居を伴う異動は少ない傾向があります。しかし大手やリゾートチェーンの正社員だと、ホテルの展開地域や数によって転勤を求められることもあるでしょう。
高卒でも当然ながら対象になるため、転勤の有無は、総合職・地域限定職などの採用区分によって異なります。応募前に勤務地条件を確認しましょう。
高卒でホテル正社員を目指す人におすすめの資格
高卒からホテル業界への就職を目指す際、関連資格を持っていると、ホテル業界への関心や基礎知識をアピールしやすくなります。
- 【王道かつ業種特化】ホテルビジネス実務検定
- 【英語力を証明】TOEIC L&R
- 【バランス】サービス接遇実務検定
自分にマッチすると思えるものをとくに熟読しておきましょう。
【王道かつ業種特化】ホテルビジネス実務検定
ホテルビジネス実務検定は現場のサービスから管理業務まで、実務に必要な知識を網羅的に学べます。業界直結の資格のため、高卒正社員の採用選考時に「本気で事前に学習をしてきた」という印象を与えられるでしょう。
ホテルビジネス検定で習得できるもの
- 宿泊業の知識
- 各部門の役割
- 国際的な慣習
英語力を示すTOEICと比べると、ホテルビジネス実務検定は業界知識を直接アピールしやすい点も魅力です。
【英語力の証明】TOEIC
訪日外国人観光客への対応が求められるホテル業界では、英語力の証明となるTOEICが強力な武器になります。完全なネイティブを求めるよりは、最低限のコミュニケーションに難がない程度で、必ずしもハイスコアや留学経験が求められるわけではありません。
採用の条件にTOEICと記載されていなくても、外資系ホテルなら評価対象になるため学歴面に不安がある場合は、早い段階で取り組んでみましょう。
【バランス】サービス接遇実務検定
サービス接遇検定は、サービス業務に対する心構えや接客応対の知識・技能、気遣いなどを学べる検定です。目配り・気配りが求められるため、フロントやコンシェルジュ業務に需要があります。
また接客のプロとしてのスキルにつき、ホテル以外にもニーズがある点も見逃せません。ブライダル・航空鉄道業界や受付・秘書など、人と直接関わるビジネスシーンなら幅広く活躍するので、ホテルの正社員以外を目指す場合にも役立つでしょう。
高卒でホテル正社員を目指す人の面接対策【志望動機・自己PR】
高卒でホテル正社員の目標を立てた際は、叶えるための面接対策が欠かせません。また履歴書には、志望動機欄が広いものもあります。努力する過程も大切ですが、面接で重要になる履歴書の志望動機・自己PR欄に何を書くかを、あらかじめ想定しておきましょう。
それでは、面接を受けるホテルに合わせて調整しやすい例文を、フロント・キッチン別に紹介します。応募先に応じて調整しやすい例文のため、ブックマークのうえ活用してみましょう。
フロント編
高校の時に【例:アルバイトor部活動】で培った、人のために行動する喜びを知り、その経験を活かしたいと考え、ホテル業界の最前線であるフロントを志望いたしました。貴社は【例:一人ひとりのお客様に寄り添うおもてなし】を大切にされており、私の【例:相手の立場になって考える強み】を発揮できる環境と確信しております。人一倍、貪欲に実務を学び、貴社の戦力として貢献してまいります。
POINT
接客業ならアルバイトの経験がとくに活かせるため、積極的に記載しましょう。
キッチン編
今までに得た【例:アルバイトor正社員or趣味の料理】の経験から、さらに腕を磨きたい思いから応募をいたしました。貴社の【例:調理部門or厨房】情報を拝見したところ、【例:地産地消の新鮮な素材】を取り入れたスタイルに共感しております。メニュー考案から在庫管理・原価を抑える創意工夫、成長した際には後輩の指導など、バランスも重視したビジョンを描いております。まずは業務を正確にこなし、早く厨房の戦力となれるよう全力で励んでまいります。
POINT
キッチン経験がなくても、レシピのバリエーションを覚えておくことで、面接時でも咄嗟にPRができるようになります。
学歴に不安がある場合は転職エージェントの活用も安心
周囲からのアドバイスがもらえない環境なら、ハローワークや一般求人サイトの利用がネックになるかもしれません。求人内容が薄くホテルの実態が見えない、給与面で物足りないなどが考えられます。
いっぽうで転職エージェントは、求職者とホテル企業の中間に立ち、人柄や秘めたポテンシャルを企業側に伝えてくれます。求人サイトに未掲載の優良ホテルの情報も持っているため、プロのサポートを受けながら進められるため、安心感を持って転職活動に臨めるでしょう。
高卒からでもホテル正社員は目指せる
ホテル業界は、学歴だけでなく、接客スキルを高めたい意欲や現場での実践力、シフト勤務への適性なども評価される業界です。高卒で就職すれば、大卒よりも4年早く現場経験を積めます。
アルバイト経験も強みになり、資格取得も大きなアピール材料になります。面接対策までしっかり行えば、選考への準備はより万全です。安定して働けるホテルを探すなら、転職エージェントの活用も検討してみましょう。

