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エコツーリズムとは?意味や具体例・メリットと課題をわかりやすく解説

三朝温泉の露天風呂

エコツーリズムとは、豊かな自然や地域の文化にふれて学びながら、その環境を守ることまで大切にする旅行のスタイルです。

近年は自然や文化を次の世代へ残す観光として、世界的に関心が高まっています。日本でも国が法律を整え、屋久島や知床などで実践が進んできました。

この記事では、言葉の意味や環境省の定義に加え、認知度や市場規模といったデータ、国内外の豊富な事例、メリットと課題まで掘り下げます。観光と自然保護を両立させる視点は、宿泊や観光の現場でも役立つはずです。

目次

エコツーリズムとは?自然を守りながら学び楽しむ観光

エコツーリズムとは、自然や文化を学びつつ、その保護にも貢献する旅のことです。

名所をただ眺める旅とは違い、対象への理解を深めながら守る側にも回る点が持ち味です。土地の人々と協力しながら進める旅でもあります。

まずは、次の3つの切り口から全体像をつかんでみましょう。

  • エコツーリズムの語源と言葉の意味
  • 環境省によるエコツーリズムの定義
  • エコツーリズム推進法に基づく取り組み

順番に見ていきます。

エコツーリズムの語源と言葉の意味

エコツーリズムは、エコロジーとツーリズムを掛け合わせた言葉です。

エコロジーは生態系や自然保護を、ツーリズムは旅を表します。この2語が結びつき、環境に配慮した旅行という意味で定着しました。世界で広まり始めたのは1980年代以降と、比較的新しい考え方です。

ただし、自然の中で遊ぶだけの旅を指すわけではありません。学びと、守る責任を引き受ける姿勢こそが言葉の核にあります。

由来を押さえておくと、このあとの定義もすんなり理解できるはずです。

環境省によるエコツーリズムの定義

国が示す考え方では、訪れた地域の自然や文化を守る責任を伴う観光とされています。

対象になるのは、その土地の自然や歴史、暮らしの文化などです。見て楽しむだけでなく、体験を通じて理解を深め、保護にも関わる点が条件になります。

土地ならではの魅力を旅行者に伝え、その良さに気づいてもらうこと。気づきが保護への行動につながる流れを生むのが、本来のねらいです。

公的な考え方を押さえると、エコツーリズムの輪郭がはっきりします。

参考:エコツーリズムとは|環境省

エコツーリズム推進法に基づく取り組み

国の取り組みを支える柱が、2007年に成立したエコツーリズム推進法です。

この法律は、自然を守ることに配慮しつつ、各地域ならではの工夫を後押しする仕組みを整えました。2008年に施行され、環境省を中心に複数の省庁が関わっています。

市町村は、地元の関係者と協議会を設け、ルールづくりや保護活動に取り組めます。住民や事業者が話し合って計画をつくる、地域主導の進め方が特徴です。

こうした制度も後押しとなり、各地で地域主導の取り組みが進められてきました。

参考:エコツーリズム推進法|環境省

データで見るエコツーリズムの認知度と市場規模

エコツーリズムは、世界で成長を続ける一方、日本では広がりの途上にあります。

現状を正しくつかむには、認知度と市場規模の両面から見るのが近道です。

ここでは、次の2つのデータに注目します。

  • 日本国内での認知度
  • 世界で拡大する市場規模

順に確認していきます。

日本国内での認知度

国内の認知度は、国の調査で分かるのは少し前の状況です。

内閣府が2014年に行った世論調査では、エコツーリズムの意味まで知っている人は13.8%にとどまりました。聞いたこともない人も56.7%にのぼりました。

ただし、これは10年以上前の調査であり、現在の認知度をそのまま表すものではありません。その後、同じ指標を測った国の調査も見当たりません。

近年はサステナブルな旅への関心が世界的に高まり、認知も以前より広がっているとみられます。古い数値は固定的に捉えず、最新の動向とあわせて読むことが大切です。

参考:環境問題に関する世論調査(平成26年)|内閣府

世界で拡大する市場規模

世界に目を向けると、市場は高い成長率で拡大を続けています。

市場調査会社IMARCの推計では、世界のエコツーリズム市場は2025年に約2,449億米ドルの規模に達しています。2034年には約6,607億米ドルへと、年平均11%前後で伸びる見通しです。

予測の数値は調査機関によって幅がありますが、右肩上がりという見方は共通しています。SDGsやサステナブル志向の高まりが、追い風になっています。

訪日客の自然志向とも重なり、日本市場の成長余地も大きいのが実情です。

参考:Ecotourism Market Report|IMARC Group

エコツーリズムが目指す4つの基本理念

エコツーリズムには、保護と振興を両立させる土台となる考え方があります。

国は、この観光が向かう方向として、たがいに結びついた複数の理念を示しています。一つに偏らず、全体の釣り合いを保つことが重視されます。

掲げられている理念は、大きく4つです。

  1. 自然環境の保全
  2. 観光振興
  3. 地域振興
  4. 環境教育

一つずつ確認します。

① 自然環境の保全

1つ目は、観光の基盤となる自然をしっかり守ることです。

自然を消費するのではなく、残しながら活かすことが前提です。立ち入る範囲や人数を絞り、ガイドが付き添うことで、環境への負担を抑えます。ごみの持ち帰りや動植物にふれない決まりも、自然を守る基本として広く取り入れられています。

守ることは、観光地としての価値を長く保つ土台でもあります。こわれた自然は戻りにくいため、先回りの配慮が欠かせません。

② 観光振興

2つ目は、その土地の持ち味を活かした観光振興です。

地域ならではの自然や文化を体験型のプログラムに変え、人を呼び込みます。よそにはない体験が強みとなり、地元の人ならではの案内も来訪者をひきつけます。四季の移ろいや地域の物語にふれる体験は、写真や情報だけでは得られない満足を生みます。

人が増えれば宿泊や飲食を通じて地域にお金が回り、閑散期の集客にもつながりました。

③ 地域振興

3つ目は、雇用や交流を生み出す地域振興です。

来訪者を受け入れることで、宿泊や飲食、ガイドといった仕事が地元に生まれます。若い世代が地元で働くきっかけになり、人口流出を抑える効果も見込めます。地域の特産品やお土産が売れることで、観光以外の産業にも良い影響が広がります。

住民が主役となって取り組むなかで、地域の良さを見つめ直す機会にもなります。

④ 環境教育

4つ目は、学びの機会を生み出す環境教育です。

ガイドが自然や文化をかみくだいて伝えるインタープリテーションが重んじられます。参加者は楽しみながら、自然の大切さや課題を肌で感じ取れます。子ども向けの自然体験を用意する地域も多く、学びの場としての役割も担っています。

体験を通じて得た知識は、心に残りやすいのも特長です。旅で得た学びは、やがて次の世代へと引き継がれていくでしょう。

エコツーリズムの国内事例

国内には、世界自然遺産や国立公園を舞台にした事例が数多くあります。

貴重な自然を守りながら楽しめるよう、各地で利用のルールづくりが進んできました。

ここでは、代表的な5つの地域を取り上げます。

  • 屋久島(鹿児島県)
  • 白神山地(青森県・秋田県)
  • 小笠原諸島(東京都)
  • 知床(北海道)
  • 西表島(沖縄県)

順番に見ていきましょう。

屋久島(鹿児島県)

屋久島(鹿児島県)は、島の約2割にあたる地域が世界自然遺産に登録された島です。

樹齢を重ねた縄文杉やヤクスギ、亜熱帯から亜寒帯まで連なる植生が見どころです。登山道の整備やガイド利用の呼びかけによって、自然への負担を抑えています。沢沿いに広がるコケむした原生林の景観も、多くの登山者を引きつけています。

混雑や環境負荷を抑えるため、登山口への車両乗り入れ規制や登山バスの運行、協力金制度などが導入されてきました。

参考:屋久島国立公園 エコツーリズム|環境省

白神山地(青森県・秋田県)

白神山地(青森県・秋田県)は、東アジア最大級のブナ原生林が広がる世界自然遺産です。

人の手がほとんど入っていない森を、経験豊富なガイドとともに歩けます。中心部は保護のために立ち入りが厳しく制限されています。世界遺産の核心地域では、決められたルートを守って歩くことが求められています。

森の生態系を守りつつ、その価値を学べる仕組みが整えられてきました。

参考:白神山地(世界自然遺産)|環境省

小笠原諸島(東京都)

小笠原諸島(東京都)は、独自の進化を遂げた固有種が多い世界自然遺産です。

クジラやイルカ、固有の動植物の観察が人気です。クジラへの接近ルールを定めた地域の自主的な取り組みは、環境省のエコツーリズム大賞でも評価されました。上陸できる場所や歩けるルートを限る独自のルールも、島の自然を守ってきました。

島の生態系を守るため、外来種の持ち込みを防ぐ対策も徹底されています。

参考:小笠原国立公園|環境省

知床(北海道)

知床(北海道)は、海と陸の生態系のつながりが評価された世界自然遺産です。

流氷やヒグマ、シマフクロウなどの野生動物にふれられます。知床五湖では利用を調整する仕組みを設け、人と自然の距離を保っています。ヒグマの生息地では、時期やルートを定めて安全に観察する工夫がなされています。

貴重な生態系を守りながら、四季折々の自然を体験できる地域です。

参考:知床国立公園|環境省

西表島(沖縄県)

西表島(沖縄県)は、島の大半をジャングルが占める世界自然遺産です。

マングローブをカヌーで巡るツアーや、夜行性の生き物を探すナイトツアーが人気です。希少な動植物を守るため、利用人数の管理も進められています。イリオモテヤマネコなど固有の生き物を守る取り組みも、島ぐるみで続けられています。

亜熱帯の自然をまるごと体感できる、国内有数のエコツーリズムの島です。

参考:西表石垣国立公園|環境省

国内のエコツーリズム事業者・プランの例

国内には、エコツアーや滞在プランを提供する事業者が各地にあります。

環境省の「エコツーリズム大賞」を受賞した団体など、質の高い取り組みが各地で育ってきました。

ここでは、事業者をタイプ別に紹介します。

  • 自然学校・ガイド事業者のエコツアー
  • 大手予約サイト・旅行会社のエコツアー
  • 宿泊施設のエコな取り組み
  • 交通・移動の工夫
  • 地域・協議会の取り組み

順番に見ていきましょう。

自然学校・ガイド事業者のエコツアー

代表例が、長野県・軽井沢を拠点とするピッキオです。

保護管理から環境教育、エコツアー、調査研究までを一体で手がける事業者です。ツキノワグマと人の共存を目指す研究をツアーに生かし、環境省の第1回エコツーリズム大賞を受賞しました。

ほかにも、各地で特色あるエコツアーが提供されています。

  • やんばる自然塾(沖縄県):マングローブをカヌーで巡る体験
  • ホールアース自然学校(静岡県):富士山麓などでの自然体験プログラム
  • 南信州観光公社(長野県):農業体験を取り入れた地域密着の旅
  • 黒潮実感センター(高知県):島の海をまるごと体感する海のエコツアー

いずれも自然や文化を学びながら、その保全につなげる工夫を凝らしています。

自然学校やガイド事業者のツアーは、初心者でも参加しやすいのが魅力です。

参考:エコツーリズム大賞 受賞団体の紹介|環境省

大手予約サイト・旅行会社のエコツアー

大手の旅行会社や予約サイトでも、エコツアーや自然体験を申し込めます。

大手旅行会社のH.I.S.は、エコツアー専用のサイトを設け、屋久島のトレッキングなど国内外の自然体験を扱っています。手軽に申し込めるため、初心者の入り口になりやすいのが特徴です。

ほかにも、各地のツアーを集めた予約サイトがあります。

  • ベルトラ(VELTRA):エコツアー専門カテゴリで屋久島の縄文杉トレッキングなどを掲載
  • じゃらん:「遊び・体験」で各地の自然体験やネイチャーツアーを予約できる
  • 日本旅行:各地の体験型ツアーを扱い、日帰りで楽しめる自然体験も提供
  • アクティビティジャパン:全国のエコツアー・ネイチャーガイドツアーを検索できる

気になるテーマやエリアから、自分に合ったツアーを選べます。

まずは予約サイトで探してみるのも、エコツーリズムの第一歩です。

参考:エコツアー|H.I.S.

宿泊施設のエコな取り組み

宿泊では、星野リゾート 西表島ホテルが代表的な存在です。

西表石垣国立公園に位置し、日本初のエコツーリズムリゾートを目指す島内最大のホテルです。ペットボトルフリーや使い捨てプラスチック削減、ネイチャーツアー、イリオモテヤマネコの保護活動などに取り組んでいます。

滞在中に体験できるプランも豊富です。

  • イリオモテガイドウォーク マングローブコース:水辺の生態系を学ぶ
  • イリオモテガイドウォーク ジャングルコース:亜熱帯の森を探検する
  • 季節ごとのネイチャーツアーやナイトツアー:島の自然を体感する

泊まること自体が、島の自然を守る取り組みにつながっています。

滞在を通じて環境に配慮できるのが、宿泊事業者ならではの強みです。

参考:エコツーリズムリゾートとは|星野リゾート 西表島ホテル

交通・移動の工夫

移動の面で大切なのが、二酸化炭素の排出を抑える交通の工夫です。

コミュニティバスやハイブリッド車、EVなどを生かし、移動で出る温室効果ガスを減らす取り組みが進んできました。観光と環境への配慮を両立させる動きが広がっています。

代表的な例は次のとおりです。

  • 愛知県のエコモビリティの取り組み:コミュニティバスを生かした「とことこツアー」など
  • 屋久島でのエコカーレンタル:ハイブリッド車を使い移動のCO2を抑える

公共交通やエコカーを選ぶだけでも、環境への負担は小さくできます。

移動の工夫は、誰でも取り入れやすいエコツーリズムの一歩です。

地域・協議会の取り組み

地域ぐるみで取り組む例が、小笠原ホエールウォッチング協会です。

クジラへの接近の仕方に自主ルールを設け、観察と保護を両立させています。地域全体でエコツーリズムを進める姿勢が、環境省の大賞でも評価されました。

各地の協議会や団体も、地域に根ざした活動を続けています。

  • 屋久島野外活動総合センター(鹿児島県):屋久島の自然を案内するガイド
  • 霧多布湿原トラスト(北海道):湿原を守りながら学ぶ自然体験
  • 信越トレイルクラブ(長野県・新潟県):ロングトレイルの整備と案内
  • 小笠原エコツーリズムリゾート(東京都・父島):宿泊からツアーまでエコに配慮した運営

住民や団体が主役となり、地域の自然を守る活動が各地に根づいています。

こうした担い手の存在が、エコツーリズムを支える土台になっているのです。

参考:エコツーリズム大賞|環境省

エコツーリズムの海外事例

海外では、国を挙げて自然保護と観光を両立させる取り組みが進んでいます。

希少な生き物や雄大な自然を体験できる地域が、世界各地にあるのも特徴です。

ここでは、代表的な国・地域と最新の動向を取り上げます。

  • コスタリカ
  • エクアドル・ガラパゴス諸島
  • オーストラリア・グレートバリアリーフ
  • ケニア
  • ニュージーランド
  • その他の国・地域の取り組み

順番に見ていきましょう。

コスタリカ

コスタリカは、エコツーリズムの先進国として知られる中米の国です。

国土の多くを国立公園や保護区とし、観光収入を自然保護に還元する仕組みを築いてきました。熱帯雨林や火山を巡るネイチャーツアーが、世界中から人を集めています。多様な動植物にふれられる体験は、自然の豊かさを楽しく学ぶ機会にもなっています。

自然を守ることがそのまま観光の魅力になる、好循環を実現しています。

参考:Visit Costa Rica(コスタリカ政府観光局)

エクアドル・ガラパゴス諸島

エクアドルのガラパゴス諸島は、独自の進化で知られる世界的な自然の宝庫です。

ゾウガメやイグアナなど固有種の観察が体験の中心です。入島者数の管理や入島料によって、もろい生態系を守っています。認定ガイドの同行や決められたルートの順守など、利用のルールも細かく定められています。

観光で得た資金を保全に充て、貴重な生態系を未来へ残そうとしています。

参考:ガラパゴス諸島|UNESCO世界遺産センター

オーストラリア・グレートバリアリーフ

オーストラリアのグレートバリアリーフは、世界最大級のサンゴ礁が広がる海域です。

シュノーケリングやダイビングでサンゴ礁を楽しめます。利用エリアの管理や保全のための負担金を設け、環境変化への対策も進めています。サンゴの白化を防ぐための調査や監視も、関係機関によって継続して行われています。

美しい海を守りながら楽しめるよう、さまざまな工夫が重ねられてきました。

参考:グレート・バリア・リーフ|UNESCO世界遺産センター

ケニア

ケニアは、野生動物を間近に見られるサファリで有名な国です。

国立公園や保護区でのサファリツアーが中心です。観光収入の一部を地域や保全に還元し、地元の人々が運営に関わる取り組みも広がっています。密猟を防ぐ監視や、人と野生動物が共存するための工夫も続けられています。

野生動物の保護と地域の暮らしを両立させる試みが続けられています。

参考:Kenya Wildlife Service(ケニア野生生物公社)

ニュージーランド

ニュージーランドは、豊かな自然を生かした観光に力を入れる国です。

国立公園のトレッキングや野生動物の観察が人気です。自然を大切にする旅の心がけを旅行者に呼びかけ、公的機関が国土の保護区を管理しています。先住民マオリの自然観も大切にされ、文化と自然の両面を学べるのも魅力となっています。

一人ひとりの行動を促す取り組みが、美しい自然を次の世代へとつないできました。

参考:Department of Conservation(ニュージーランド自然保護省)

その他の国・地域の取り組み

太平洋の島国パラオでは、入国時に自然保護を誓う「パラオ・プレッジ」を導入しています。

旅行者はパスポートにエコ誓約として署名し、島の自然を大切にすることを約束します。観光客の行動から環境を守ろうとする、世界でも先進的な仕組みです。

国の制度で持続可能な観光を進める例は、ほかにもあります。

  • ブータン:観光客に持続可能な開発のための料金を課し、低負荷で質の高い観光を推進
  • アイスランド:火山や氷河など独特の地形を生かした自然体験
  • タンザニア:セレンゲティ国立公園のサファリと地域への還元

いずれも、国の方針として自然保護と観光の両立を進めています。

世界では、エコツーリズムを国づくりの柱に据える国が広がっているのです。

参考:入国するには「誓約」が必要:環境立国パラオ|nippon.com

ヨーロッパのエコツーリズム事例

ヨーロッパでも見られるのが、エコツアーや環境に配慮したホテルです。

特にイタリア・イギリス・フランスでは、移動から宿泊まで多彩な取り組みが進んでいます。

3つの国の例を順に紹介しましょう。

  • イタリアの事例
  • イギリスの事例
  • フランスの事例

それぞれ詳しく見ていきます。

イタリアの事例

イタリアで目立つのが、電気で走る乗り物を使った街めぐりのツアーです。

ベルガモでは電動自転車で城壁の街を巡り、ローマでは電動トゥクトゥクで主要な観光地を回るツアーがあります。フィレンツェにも電気自動車で世界遺産の街を案内するツアーがあり、排気を抑えながら歴史を楽しめます。

環境に配慮したエコホテルも各地にあるのが特徴です。

  • 電動バイクツアー(ベルガモ):歴史ある城壁の街を自転車で巡る
  • 電動トゥクトゥク(ローマ):排出の少ない乗り物で主要スポットを案内
  • 電気自動車ツアー(フィレンツェ):世界遺産の街並みを静かに走る
  • LA FORESTALE(マルケ州):太陽光で電力をまかなうエコホテル
  • Lefay Resort(ガルダ湖畔):再生可能エネルギーを活用するリゾート

移動からホテルまで、環境への負担を抑える工夫が広がっています。

歴史と自然を両立させる旅が根づいているのです。

参考:イタリア政府観光局 公式サイト(italia.it)

イギリスの事例

イギリスで特徴的なのが、国立公園や自然保護区を歩いて学ぶツアーです。

ハンプシャーのニューフォレスト国立公園では、ガイドとともに森や荒地を歩きます。サリー州のノースダウンズには珍しい蝶やランを観察するツアーがあり、自然保護を学べます。

地方や都市のホテルも、環境対策に積極的です。

  • ニューフォレスト国立公園(ハンプシャー):ガイド付きで森と歴史を歩く
  • ノースダウンズ(サリー州):希少な蝶やランを観察するツアー
  • ヘブリディーン農場ハイキング(マル島):地元の農家と触れ合う
  • Park Grand London:省エネ機器で電力の無駄を減らすホテル
  • The Chesterfield Mayfair(ロンドン):使い捨てプラ削減や食品ロス対策に取り組む

都市から地方まで、幅広い取り組みが見られます。

自然と暮らしの両面から環境を守っているのです。

参考:VisitBritain 公式サイト

フランスの事例

フランスで人気なのが、電動自転車などで街を巡るエコツアーです。

ニースでは電動自転車で海辺の街を走り、パリでは自転車でエッフェル塔など主要な名所を巡るツアーがあります。ラバンヌでは電動スクーターで自然や歴史を学びながら走れます。

再生可能エネルギーを生かしたエコホテルも魅力です。

  • ニースの電動自転車ツアー:海辺の街を環境にやさしく巡る
  • 電動スクーター(ラバンヌ):自然や歴史を学びながら走る
  • パリの自転車ツアー:エッフェル塔など名所をガイドと巡る
  • マダム レーヴ(パリ):旧郵便局を再利用し太陽光を活用するホテル
  • ビクトリア パレス ホテル(パリ):使い捨てプラ廃止と環境憲章に取り組む

移動も宿泊も、環境への配慮が当たり前になりつつあります。

観光大国ならではの幅広い取り組みが進んでいるのです。

参考:フランス観光開発機構 公式サイト(france.fr)

エコツーリズムのメリットと課題

エコツーリズムには、地域と自然の両方を支える利点があります。

一方で、理念を形にするうえで越えるべきハードルもあります。良い面と難しい面の両方を知っておくことが大切です。

ここからは、利点と課題を順に整理します。

  • エコツーリズムのメリット
  • エコツーリズムが抱える課題

それぞれ詳しく取り上げます。

エコツーリズムのメリット

最大の利点は、自然保護と地域経済を同時に進められることです。

観光で得た収入の一部が保護活動に充てられ、自然を守る好循環が回り始めます。地元に雇用が生まれ、若い世代の定着の後押しにもなります。

主な利点は、次のとおりです。

  • 自然環境や文化の保全につながる
  • 地域経済の活性化や雇用の創出につながる
  • 旅行者が自然や文化への理解を深められる

観光と保護を同時に進められることが、何よりの強みといえます。

持続可能な地域づくりの手立てとしても、期待が高まってきました。

エコツーリズムが抱える課題

難しいのは、守ることと使うことの釣り合いをどう保つかという点です。

人が増えすぎれば、かえって自然を傷つける心配があります。質の高いガイドの育成や、適切な人数の管理も欠かせません。

主な課題は、次のとおりです。

  • 観光客の増加による環境への負荷
  • ガイドなど専門人材の育成と確保
  • 保全と収益の両立の難しさ

理念を保ったまま運営を続ける難しさが、各地で指摘されています。

課題を一つずつ片づける地道な努力が、これからも求められるでしょう。

エコツーリズムに関するよくある質問

エコツーリズムとグリーンツーリズムの違いは?

両者の差は、対象とする場所と体験の中身にあります。

エコツーリズムは自然や歴史文化を守ることに重きを置きます。グリーンツーリズムは農山漁村に滞在し、農業体験や人との交流を楽しむ過ごし方が中心です。

自然環境の保全を主な目的とするか、地域の人々との交流を主な目的とするかで分かれます。観光の入り口が自然にあるか農山漁村にあるかという点でも、両者は性格が異なるのです。

エコツーリズムとSDGsの関係は?

エコツーリズムは、複数のSDGsの達成を後押しする観光です。

自然を守り、地域の経済を元気にすることを通じて、持続可能な社会づくりに貢献します。陸と海の豊かさを守る目標とも、深くつながっています。

働きがいのある仕事づくりや、住み続けられるまちづくりにも関わっています。観光を通じて世界共通の目標に身近に取り組めるのも、大きな利点といえます。

エコツーリズムには誰でも参加できる?

エコツーリズムは、特別な技術がなくても参加しやすい観光です。

体力に合わせてツアーを選べるため、子どもから高齢者まで楽しめます。日帰りや滞在型など形式も幅広く、ガイドの説明を聞きながら自然への理解を深められるのも魅力です。

はじめての人でも、ガイドのサポートがあれば安心して参加できます。

エコツーリズムで自然と観光の未来を支えよう

エコツーリズムとは、自然や文化を守りながら学んで楽しむ観光です。

環境省の定義や推進法に支えられ、世界では市場が拡大し、国内でも各地で実践が進んでいます。自然保護と地域振興、観光を同時に進められる点が、大きな魅力です。

認知度はこれから高まる段階にあり、宿泊や観光の現場にとっては早めに取り入れる好機です。体験を重んじるニューツーリズムの代表格の一つでもあります。

自然と観光の未来を見すえた取り組みは、これからの宿泊業にも新しい視点を運んでくれるでしょう。

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