ホテルのパティシエとして働く場合、どのくらいの給料をもらえるのでしょうか。
「街の洋菓子店からホテルへ転職すると年収は上がる?」
「経験を積めば年収500万円以上を目指せる?」
「ホテルによって給料はどれくらい違う?」
転職を考えると、こうした疑問を持つ人もいるでしょう。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、「洋菓子製造、パティシエ」に関連する職業分類の年収は396.7万円、ハローワーク求人の賃金は月額22.5万円です。ただし、この統計はホテルで働くパティシエだけを対象にしたものではありません。
そこでこの記事では、ホテリエキャリアに掲載されている実際のパティシエ求人も確認しながら、ホテルパティシエの給料、年収に差が生まれる理由、収入を上げるために身につけたい経験を解説します。
ホテルパティシエの給料・年収はどれくらい?
ホテルパティシエの給料を考えるときは、「平均年収○万円」という一つの数字だけで判断しないことが大切です。
パティシエと一口にいっても、製造を中心に担当するスタッフと、メニュー開発や在庫管理、スタッフ育成まで担う責任者では、仕事内容も給与水準も異なります。
パティシエ全体の年収は396.7万円が参考値
厚生労働省のjob tagでは、「洋菓子製造、パティシエ」に関連する職業分類の年収を396.7万円としています。
また、2025年度のハローワーク求人賃金は全国平均で月22.5万円でした。2026年6月単月では23.1万円となっています。
ただし、これらはホテルパティシエだけの統計ではありません。
ホテルへの転職を検討している場合は、この数字を市場全体の参考値として見たうえで、実際のホテル求人を確認する方が現実的です。
ホテリエキャリアの求人から見るホテルパティシエの給料
2026年時点で、ホテリエキャリアにはパティシエ(製菓)の求人が37件掲載されています。
掲載求人を見ると、給与は一律ではありません。一般スタッフを含む募集から、シェフ・ド・パルティ、ペストリーシェフなど責任のあるポジションまで幅があります。
実際の掲載例を見てみましょう。
| 施設・ポジション | 掲載給与 |
|---|---|
| nol hakone myojindai/パティシエ | 月給22万~40万円 |
| アートホテル弘前シティ/ペストリー・料理長候補 | 月給23万~33万円 |
| 新富良野プリンスホテル/パティシエ | 年収300万~500万円 |
| TKP東京ベイ幕張/パティシエ | 年収319万~488万円 |
| 琉球オリオンホテル那覇国際通り/ペストリースタッフ | 年収315万~500万円 |
| サンクチュアリコート琵琶湖/ペストリー | 年収378万~492万円 |
| インターコンチネンタル札幌/シェフ・ド・パルティ | 月給25万~48万円 |
| ウェスティンホテル横浜/ペストリーシェフ | 月給30万~60万円 |
※2026年時点のホテリエキャリア掲載求人。給与は経験・能力などによって決定される場合があります。
実際に、サンクチュアリコート琵琶湖では年収378万~492万円、新富良野プリンスホテルでは年収300万~500万円、TKP東京ベイ幕張では年収319万~488万円の募集があります。
一方、責任のあるポジションまで対象を広げると給与上限も高くなります。インターコンチネンタル札幌のシェフ・ド・パルティは月給25万~48万円、ウェスティンホテル横浜のペストリーシェフは月給30万~60万円です。
このように、ホテルパティシエの給与は「パティシエだから○万円」と決まるわけではなく、経験やポジションによって大きく変わります。
ホテルパティシエの給料に差が出る3つの理由
同じパティシエでも給与に差があるのは、勤務先だけでなく、任される仕事が異なるためです。
特に求人を見るときは、次の3点に注目すると給与差の理由を理解しやすくなります。
製菓以外に担当できる仕事が違う
ホテルのパティシエは、ケーキを作るだけとは限りません。
レストランのデザート、ブッフェ用スイーツ、宴会・婚礼向けの製菓、ウェディングケーキ、テイクアウト商品など、ホテルによって担当する商品はさまざまです。
たとえばザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパの求人では、レストラン・宴会場のデザートに加え、ウェディングケーキ、ケーキブティックの商品、お取り寄せスイーツまで担当業務に含まれています。
複数の用途や提供方法に対応できる経験は、次の職場を探す際にも活かしやすいでしょう。
発注・原価管理・メニュー開発を任されることがある
経験を積むと、製造以外の業務を任されるケースも増えてきます。
アートホテル弘前シティの求人では、経験に応じてHACCPに基づく衛生管理、食材の発注、原価管理、メニュー開発などを担当します。さらに料理長候補では、スタッフ育成などの人材マネジメントも業務の一つです。
製菓技術だけでなく、原価や在庫を意識して厨房を運営できるようになると、任される役割の幅が広がります。
後輩指導やマネジメント経験が求められる
上位のポジションになるほど、自分で作れることに加えて「チームを動かせるか」が重要になります。
インターコンチネンタル札幌のシェフ・ド・パルティ求人では、デザートやペストリーの製作だけでなく、季節メニューの考案、在庫管理、ジュニアスタッフへの指導なども業務に含まれています。
パティシエとして年収を伸ばしていくなら、製造技術と並行して、後輩指導や店舗・厨房運営に関わる経験を積むことも一つの方向性です。
高級ホテルのパティシエなら給料は高い?
「高級ホテルに転職すれば給料も高くなる」とは限りません。
ホテルのブランドやグレードは給与を左右する要素の一つですが、実際の求人ではポジションや経験によって給与レンジが設定されています。
そのため、ホテル名だけで比較するより
「一般スタッフとして採用されるのか」
「主任やシェフ・ド・パルティとして採用されるのか」
「商品開発や原価管理まで任されるのか」
「部下の育成やマネジメントを担当するのか」
といった仕事内容を見ることが重要です。
転職で年収を上げたい場合は、「より有名なホテルへ行く」よりも、「これまでの経験をどのポジションで評価してもらえるか」という視点で求人を比較した方が、条件に合う職場を探しやすくなります。
洋菓子店からホテルへ転職すると給料は上がる?
洋菓子店からホテルへ転職したからといって、必ず給料が上がるわけではありません。
現在の給与、これまでの経験、応募するポジションによって結果は変わります。
一方、ホテル求人には、賞与や昇給だけでなく、寮・社宅、従業員食堂、退職金などを設けているケースがあります。
たとえばサンクチュアリコート琵琶湖には寮・社宅制度や従業員食堂、退職金制度などがあり、年間休日は120日です。nol hakone myojindaiでは月5,000~1万円の独身寮が用意されています。
そのため転職先を比較するときは、月給だけを見るのではなく、賞与や手当、住宅費、年間休日まで含めて判断するとよいでしょう。
月給が数万円高くても住宅費が大きく増える転職と、月給はそれほど変わらなくても安価な寮を利用できる転職では、手元に残る金額が逆転する可能性もあります。
ホテルパティシエが給料を上げるには?
収入を上げたい場合、「経験年数を増やす」だけでは十分とはいえません。
求人で評価される仕事を増やしていくことが重要です。
担当できる製菓の幅を広げる
ホテルでは、アシェットデセール、生菓子、焼き菓子、ブッフェ、宴会、婚礼など、さまざまな製菓経験を活かせます。
一つの商品の製造だけでなく、複数の提供場面に対応できるようになるほど、応募できる求人の幅も広がります。
メニュー開発や商品企画を経験する
商品を決められた通りに作るだけでなく、メニューを考える経験も強みになります。
ホテルや結婚式場の求人には、アシェットデザートやデザートビュッフェのメニュー考案、新商品開発などを担当するものがあります。
現在の職場で商品開発に携われる機会があるなら、将来の転職も考えて経験しておく価値があります。
原価・在庫・衛生管理を経験する
責任のあるポジションほど、厨房全体を見る力が求められます。
発注、在庫管理、原価管理、HACCPをはじめとする衛生管理などを経験しておけば、製造スタッフより上のポジションを目指す際にも活かせます。
後輩指導やマネジメントを経験する
年収を伸ばすうえで特に重要なのが、人を育てたりチームをまとめたりした経験です。
求人では「スタッフ育成」「ジュニアスタッフへの指導」「チームマネジメント」などが上位ポジションの仕事内容として見られます。
役職名が付いていなくても、新人教育やシフト内の指示出しを担当しているなら、転職時に伝えられる経験として整理しておきましょう。
ホテルパティシエの求人で確認したいポイント
給料を比較するときに注意したいのは、求人票に記載された金額だけでは実際の待遇を判断できないことです。
特に確認したいのは、基本給、固定残業代の有無、賞与・昇給、各種手当、残業時間、年間休日、寮・社宅の7項目です。
同じ「月給30万円」でも、固定残業代を含む場合と、残業代が別途支給される場合では条件が異なります。
年収表記についても、賞与を含む想定年収なのか、月給を基準にした金額なのかを確認した方がよいでしょう。
リゾートホテルでは寮の有無も重要です。新富良野プリンスホテルでは30歳まで利用できる月2万円の寮があり、琉球オリオンホテル那覇国際通りには条件付きの借上社宅制度があります。
給与だけを横並びにするのではなく、「その条件でどのような生活になるか」まで考えると、自分に合う職場を選びやすくなります。
未経験でもホテルパティシエになれる?
ホテルによっては、未経験から応募できる求人もあります。
2026年時点のホテリエキャリアにも「未経験歓迎」のパティシエ求人が掲載されています。たとえば箱根のリゾートホテル「nol hakone myojindai」は、経験者を優遇しつつ未経験者の応募も受け付けており、給与は月給22万~40万円です。
ただし、すべての求人が未経験者を対象としているわけではありません。
ホテルやレストランでの調理経験、パティシエ経験、ウェディングケーキの制作経験などを応募条件としている求人もあります。
未経験の場合は、給与だけでなく「どこから仕事を教えてもらえるか」「どのような製菓経験を積めるか」も確認したいところです。
ホテルパティシエは年収500万円を目指せる?
年収500万円前後を含むホテルパティシエ求人は実際にあります。
ホテリエキャリアでは、新富良野プリンスホテルが年収300万~500万円、琉球オリオンホテル那覇国際通りが年収315万~500万円で募集しています。
さらに上位のポジションでは、ウェスティンホテル横浜のペストリーシェフが月給30万~60万円となっています。
ただし、求人の上限額がそのまま入社時の給与になるわけではありません。
製菓経験だけでなく、メニュー開発、原価管理、スタッフ育成、マネジメントなど、どこまで任せられる人材なのかによって提示される条件は変わります。
年収500万円以上を目指すなら、「何年働いたか」だけではなく、「何を任されてきたか」を増やしていくことが大切です。
ホテルパティシエは給料だけでなく仕事内容と待遇を比較しよう
厚生労働省のjob tagでは、「洋菓子製造、パティシエ」に関連する職業分類の年収は396.7万円です。ただし、ホテルパティシエだけを示した平均年収ではないため、この数字だけで転職先の給与を判断することはできません。
実際のホテル求人を見ると、年収300万~500万円程度を含む募集から、月給上限60万円のペストリーシェフまで、給与には幅があります。
差を生んでいるのはホテルの知名度だけではありません。製菓経験の幅、メニュー開発、発注・原価管理、スタッフ育成、マネジメントなど、任される役割も重要です。
転職を考えているなら、現在の年収と求人票の金額を比べるだけでなく、「自分の経験ならどのポジションを狙えるか」「次の職場でどんな経験を積めるか」まで確認してみてください。
長期的に収入を伸ばしたい場合は、給与とキャリアの両方を見ながら職場を選ぶことがポイントです。

