ホテル業界は「ブラック」と言われることがありますが、その評価は職場によって大きく変わります。
同じホテル業界でも、夜勤が多く忙しい職場がある一方で、無理なく働きやすい職場もあります。
そのため、ホテル業界全体をブラックと決めつけることはできません。
この記事では、ホテル業界がブラックと言われる理由を整理したうえで、施設や職種による違い、今の職場だけが問題なのかを見極めるポイント、求人票で確認したい項目について解説します。
ホテル業界がブラックと言われる主な理由
ホテル業界がブラックと言われる背景には、夜勤やシフト勤務、人手不足による忙しさなどがあります。
ただし、すべてのホテルで同じ状況が起きているわけではありません。まずは、多くの人が「きつい」と感じやすい理由を確認してみましょう。
| 理由 | 現場で起こりやすい状況 | どのような負担につながるか |
| 夜勤・シフト勤務 | 夜勤・早番・遅番が頻繁に切り替わる | 睡眠時間を確保しにくく、疲れが抜けにくい |
| 人手不足 | 1名体制で電話対応・チェックイン・問い合わせ対応が重なる | 一人で複数の業務を同時に進める状況が増える |
| クレーム対応 | 予約ミスや騒音への苦情を受ける | お客様への説明や謝罪が続き、精神的な負担が大きくなる |
| 繁忙期の休日 | GW・年末年始に休みの希望を出しにくい | 家族や友人と予定を合わせにくくなる |
上記は、ホテル業界でよく挙げられる例です。それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
夜勤やシフト勤務で生活リズムが不規則になりやすい
ホテルでは夜間も宿泊者が滞在しているため、フロントなど一部の職種では、夜勤を含むシフト勤務になることがあります。
夜勤の翌日に早番が入るなど、勤務時間が日によって変わる職場では、生活リズムを整えにくくなります。十分な睡眠時間を確保できない日が続くと、疲れが残りやすくなることもあるでしょう。
そのため、夜勤やシフト勤務を負担に感じる人も少なくありません。
人手不足で複数の業務を担当することがある
人手が足りない職場では、一人で複数の仕事を進めなければなりません。
忙しい時間帯は、お客様の案内や電話対応が重なり、慌ただしくなることがあります。忙しい日は、レストランや宴会場の応援を任されることも少なくありません。
担当する仕事が増えるほど、一人あたりの負担は大きくなります。人手不足が続く職場では、この負担を理由に退職を考える人もいます。
クレーム対応や急なトラブル対応が発生する
ホテルでは、お客様からの苦情や急なトラブルへの対応が発生することがあります。
例えば、設備の不具合や予約内容に関する問い合わせを受けることがあります。夜間に対応が重なると、お客様への説明や関係部署への連絡を同時に進めなければなりません。
こうした対応が続くと、精神的な負担を感じる人もいます。
忙しい時期は休日を取りにくい場合がある
ゴールデンウィークや年末年始、お盆の時期は、ホテルが特に忙しくなる時期です。
多くのお客様が利用するため、スタッフも通常より多く出勤することになります。その結果、希望した日に休みを取りにくい職場も少なくありません。
友人や家族と予定を合わせにくいことから、この働き方を負担に感じる人もいます。ただし、休みの取りやすさはホテルごとに異なります。応募前に休日制度や希望休の扱いを確認しておくと安心です。
すべてのホテルがブラックとは限らない|施設の種類によって働き方は異なる
ホテル業界といっても、施設によって仕事の内容や忙しさは異なります。
例えば、ビジネスホテルとリゾートホテルでは忙しくなる時間帯が違います。旅館では複数の仕事を担当することがありますが、役割分担がはっきりしているホテルも少なくありません。
そのため「ホテル業界はブラック」と一括りにすることはできません。まずは施設ごとの特徴を見てみましょう。
| 施設の種類 | 働き方の特徴 | 忙しくなりやすい場面 |
| ビジネスホテル | フロント業務が中心で、出入りするお客様が多い | 朝のチェックアウト時間帯、夕方のチェックイン時間帯 |
| シティホテル | 宿泊に加えて宴会やレストランも運営している | 宴会やイベントがある日 |
| リゾートホテル | 観光やレジャー目的のお客様が多い | 長期休暇や観光シーズン |
| 旅館 | 接客から食事の提供まで担当することがある | チェックインから夕食の時間帯 |
| 外資系ホテル | 語学を使う場面が多く、担当する仕事が決まっていることが多い | 海外のお客様への対応が重なる時間帯 |
上記は一例です。同じビジネスホテルでも、施設によって忙しさや仕事の進め方は異なります。
ビジネスホテルは朝と夕方に忙しくなりやすい
ビジネスホテルでは、朝と夕方に利用客が集中する傾向があります。朝はチェックアウト、夕方はチェックインが増えるためです。
フロントでは、受付や電話対応、館内案内などを並行して行う場面も少なくありません。繁忙時間帯以外の業務量は、施設によってさまざまです。
シティホテルは宴会や結婚式がある日に忙しくなりやすい
シティホテルには、レストランや宴会場が併設されています。
宴会や結婚式の開催日には案内や問い合わせが増え、人員体制によっては他部門の応援に入ることもあります。
業務が重なると担当業務に遅れが生じ、退勤時間が遅くなる場合もあるでしょう。
リゾートホテルは時期によって忙しさが変わりやすい
リゾートホテルは、夏休みや年末年始、連休などに多くのお客様が訪れます。
お客様が多い時期は、チェックイン対応や食事会場の案内が続き、館内全体が慌ただしくなります。夏休みや年末年始は残業が発生することも少なくありません。
一方で、それ以外の時期は比較的落ち着いて働けることもあります。季節によって忙しさに差があるのも、リゾートホテルならではの特徴です。
旅館はさまざまな仕事を担当することがある
旅館では、フロントでお客様を迎えたあと、食事会場で配膳を担当したり、客室の準備を手伝ったりすることがあります。
施設によっては、一人のスタッフが複数の仕事を担当することも少なくありません。
また、住み込みで働く場合は、勤務時間外でも館内で困っているお客様から声をかけられることもあります。どこまでの仕事を担当するのかは、応募前に確認しておきたいポイントです。
外資系ホテルは語学力が求められることが多い
外資系ホテルでは、海外からのお客様と接する機会が多くあります。
そのため、英語で案内をしたり、問い合わせに対応したりする場面も少なくありません。
語学に慣れていない人は負担を感じることがありますが、英語を使う仕事に興味がある人にとっては、語学力を活かしやすい環境です。
職種によって忙しさの中身は異なる
ホテルの仕事は職種によって内容が異なります。
例えば、フロントはお客様対応が重なりやすく、客室清掃は時間内に部屋を整えることが求められます。
まずは職種ごとの仕事内容を見てみましょう。
| 職種 | どんな仕事か | 忙しくなりやすい場面 |
| フロント | チェックイン・チェックアウトや電話対応 | お客様が集中する時間帯やトラブル対応 |
| レストラン | 食事会場での案内や配膳 | 朝食時間や宴会がある日 |
| 客室清掃 | 客室の清掃や備品の補充 | 短時間で多くの部屋を清掃するとき |
| 予約担当 | 電話や予約サイトからの予約受付 | 予約変更やキャンセルが重なるとき |
| 営業・企画 | 企業や団体への提案・宿泊プランの企画 | 宴会やイベントの準備・商談が重なるとき |
| 管理職候補 | シフト作成やスタッフ管理 | 急な欠勤や人員不足が発生したとき |
ホテルの仕事は職種によって忙しくなる状況が異なります。
同じホテルで働いていても、どの仕事を担当するかによって負担の感じ方は変わります。
フロントは複数の対応が重なることがある
フロントでは、お客様の受付だけでなく、電話対応や館内の案内も担当します。
夕方はチェックインのお客様が続くことが多く、その最中に電話が鳴ったり、お客様から質問を受けることも少なくありません。
夜勤中は少人数で勤務する職場もあり、トラブルが発生したときは、その場で対応しなければならないこともあります。
レストランは食事の時間帯に仕事が集中する
レストランでは、お客様の案内や配膳を担当します。
朝食や夕食の時間帯は、利用客が増えます。配膳や食器の片付けも続きます。
宴会や団体利用が重なる日は、さらに多忙です。一度に多くのお客様が来店し、配膳の回数も増えます。
客室清掃は限られた時間で部屋を整える
客室清掃では、ベッドメイキングや浴室の掃除、アメニティの補充などを行います。
お客様がチェックアウトした後は、次のお客様が利用する前に部屋を整える必要があります。限られた時間の中で複数の部屋を回るため、時間との勝負になる仕事です。
人手が足りない日は担当する部屋数が増え、作業時間が長くなることもあります。
予約担当は予約変更が重なると確認作業が増える
予約担当は、電話やインターネットから入る予約を管理します。
予約の変更やキャンセルが重なる日は、空室状況を確認しながら内容を調整しなければなりません。
連休や年末年始前は「予約日を変更したい」「人数を増やしたい」といった連絡が増え、確認作業に追われることもあります。
営業職は売上目標を意識しながら動くことがある
営業職は、企業や団体にホテルを利用してもらうための提案を行います。
施設によっては売上や契約件数の目標が決められており、月末が近づくと取引先への連絡や打ち合わせが増えることも少なくありません。
予定していた契約が延期になったり中止になったりすると、別の案件を探さなければならないこともあります。
管理職候補は欠員対応やシフト調整を任されることがある
管理職候補になると、現場の仕事だけでなくスタッフの管理も任されるようになります。
スタッフが急に休んだ日は、代わりに勤務できる人を探したり、自分が現場に入ったりすることも少なくありません。
さらに、新人への指導やシフト調整も担当するため、一般スタッフより責任の大きな立場になります。
ホテル業界の特徴と職場ごとの違いを分けて考える
ホテル業界がブラックと言われる理由には、業界全体に共通するものと、職場によって異なるものがあります。
どのホテルでも起こりやすいことなのか、それとも特定の職場だけの問題なのかを分けて見ていきましょう。
| 気になること | どのホテルでも起こりやすい | 職場によって差が出やすい |
| シフト勤務 | 接客・運営部門では起こりやすい | シフトの組み方によって変わる |
| 夜勤 | フロントなど一部職種で起こりやすい | 職種や運営体制によって変わる |
| 連休に休みを取りにくい | ○ | シフトの組み方によって変わる |
| 人手不足で他の仕事も手伝う | ○ | 人数に余裕がある職場は少ない |
| 仕事を教えてもらえない | ― | 教育の進め方によって変わる |
| 急なシフト変更が多い | ― | 管理する人によって変わる |
ホテル業界の特徴として起こりやすいこともあれば、職場によって変わることもあります。
そのため、「ホテル業界だから仕方ない」と決めつけず、どの部分が職場ごとの問題なのかを分けて考えることが大切です。
業界全体で起こりやすい課題
夜勤やシフト勤務は、多くのホテルで行われています。ホテルの仕事は、職種によって生活リズムが不規則になりやすいといえるでしょう。
また、お盆や年末年始、ゴールデンウィークは利用者が増えるため、休みを取りにくいこともあります。クレーム対応もホテルの仕事では珍しくありません。
これらは特定のホテルだけの問題ではなく、多くのホテルで起こりやすいことです。
職場によって差が出やすい課題
ホテル業界全体の特徴ではなく、職場によって変わることもあります。
例えば、仕事の教え方やシフトの組み方です。研修をしっかり行う職場もあれば、入社して間もないうちから夜勤を任される職場もあります。
また、シフト変更の連絡が直前に来たり、休みの日に出勤を頼まれたりすることが多い場合は、その職場ならではの問題かもしれません。
シフトの組み方や欠員時の対応を見る
同じホテル業界でも、シフトの組み方は職場によって異なります。
スタッフが急に休んだときに協力して対応する職場もあれば、一部の人に負担が集中する職場もあります。
また、休みの日に出勤を頼まれることが多い場合は、人手が足りていないことや、シフトの組み方に原因があるかもしれません。
職場を変えることで働きやすくなることもある
ホテルによって働き方は異なります。
残業が多い職場もあれば、比較的決まった時間に帰れる職場もあります。仕事の教え方やシフトの組み方にも違いがあり、働きやすさは勤務先ごとにさまざまです。
そのため、今の職場に不満がある場合でも、ホテル業界そのものが合わないとは限りません。別のホテルへ移ることで働きやすくなるケースもあります。
応募前に必ず確認したい求人票のチェックポイント
求人票には仕事内容や給料が書かれていますが、それだけで働きやすさまではわかりません。
休日数や夜勤の回数、研修の有無なども確認することで、働くイメージを持ちやすくなります。
ここでは、応募前に確認しておきたいポイントを紹介します。
| 確認したいこと | 見るポイント | 面接で聞きたいこと |
| 休日 | 年間休日は十分あるか | 希望休は取りやすいか |
| 夜勤 | 月に何回くらいあるか | 夜勤は何人で担当するか |
| 残業代 | 残業代はどのように支払われるか | 残業が多い月はどれくらいあるか |
| 研修 | 仕事を教える期間があるか | 誰が教えてくれるのか |
| スタッフ数 | 十分な人員が配置されているか | 忙しい日は何人で勤務するか |
| 募集理由 | なぜ募集しているのか | 前任者の退職による募集か |
| 転勤 | 転勤の可能性があるか | どの地域への異動があるか |
求人票に書かれている内容だけで職場の様子を判断するのは難しいこともあります。
気になる点は応募前や面接時に確認し、自分に合う働き方ができる職場かどうかを見ておきましょう。
休みの日数やシフトの組み方を確認する
求人票を見るときは、年間休日がどのくらいあるのかを確認しておきましょう。
1日の所定労働時間が8時間の場合、年間休日105日は、週平均40時間以内に収めるための目安の一つです。105日未満だから直ちに違法とは限りませんが、休日が少ないと感じる可能性があります。また、希望した日に休みを取りやすいかどうかは、職場によって異なります。
休日数だけでなく、休みの取り方も確認しておくと安心です。入社後の働き方をイメージする材料にもなります。
夜勤は月に何回あるのかを確認する
求人票に「シフト制」と書かれていても、夜勤の回数まではわからないことがあります。
夜勤が多いと生活リズムが乱れやすいため、月に何回くらい担当するのかを確認しておきましょう。
あわせて、夜勤手当があるかどうかも見ておきたいポイントです。
残業代の扱いを確認する
求人票によっては「固定残業代あり」と書かれていることがあります。
固定残業代は、実際の残業の有無にかかわらず、一定時間分の時間外労働などに対して定額を支払う仕組みです。
求人票では、固定残業代の金額、対象となる時間数、固定残業代を除いた基本給を確認しましょう。対象時間を超えて残業した場合、超過分の割増賃金は別途支払われる必要があります。
わかりにくい場合は、面接で説明してもらうと安心です。
仕事の教わり方を確認する
求人票を見るときは、入社後にどのように仕事を覚えていくのかも確認しておきましょう。
「OJT」と書かれている場合は、実際の仕事をしながら覚えていく方法を指します。
誰が仕事を教えてくれるのか、どのくらいの期間をかけて覚えていくのかがわかると、入社後の不安を減らしやすくなります。
気になる場合は、面接で確認してみましょう。
働いている人数も確認する
求人票だけでは、実際に何人で仕事をしているのかわからないことがあります。
特に夜勤は、1人で担当する職場もあれば、複数人で担当する職場もあります。
夜勤の負担を考えるためにも、何人で担当しているのかを確認しておきましょう。
自分に合う職場を探すなら宿泊業専門の転職エージェントに相談する方法もある
応募先を選ぶときは、給料や休日数だけでなく、実際にどのような働き方になるのかも気になるところです。
宿泊業専門の転職エージェントでは、ホテルごとの特徴について相談できます。
募集要項だけでは見えにくい情報もある
募集要項には仕事内容や給料、休日数などが記載されています。
一方で、入社後の教育方法や職場の雰囲気、忙しい時間帯の様子などは、実際に働いてみないとわからないものです。
しかし、宿泊業専門の転職エージェントに相談すると、応募先を比較するときの判断材料を得られることがあります。
応募前の判断材料として活用する
宿泊業専門の転職エージェントでは、ホテルごとの働き方や採用傾向について相談できます。
気になる点を事前に確認しておくことで、応募先を選ぶときの参考になります。
転職するかどうかを決めていない段階でも、まずは話を聞いてみるのも一つの方法です。
よくある質問
Q:ホテル業界は本当にブラックなのでしょうか?
ホテル業界全体をブラックと決めつけることはできません。
夜勤やシフト勤務があるため大変な場面はありますが、働き方はホテルによって異なります。
そのため、「ホテル業界だからブラック」ではなく、勤務先ごとの働き方や職場環境を確認することが大切です。
Q:ホテル業界が「やめとけ」と言われる理由は何ですか?
夜勤やシフト勤務、人手不足による忙しさなどが理由として挙げられます。
ただし、働き方はホテルによって異なるため、「ホテル業界だから大変」とは一概には言えません。
Q:夜勤はどのくらい負担になりますか?
夜勤の負担は人によって異なりますが、生活リズムが変わるため疲れを感じることがあります。
夜勤の回数や勤務後の休み方は職場によって違うため、応募前に確認しておきましょう。
Q:ホテルと旅館では働き方に違いがありますか?
違いがあります。
小規模な旅館では、接客や配膳などを幅広く担当する場合があります。一方、大規模なホテルや旅館では、部門ごとに業務が分かれていることがあります。
Q:ブラックな求人を見分ける方法はありますか?
求人票を見るときは、休日数や夜勤の回数、残業代の扱いなどを確認しましょう。
また、面接では、夜勤を何人で担当するのか、どのように仕事を教えてもらえるのかを聞いておくと、働くイメージを持ちやすくなります。
まとめ
ホテル業界はブラックと言われることがありますが、すべてのホテルがブラックというわけではありません。
夜勤やシフト勤務がある職場もあれば、休みを取りやすく仕事を教えてもらいやすい職場もあります。施設の種類や職種によって働き方は大きく異なります。
応募を考えるときは、給料や仕事内容だけでなく、休日数や夜勤の回数、仕事の教わり方なども確認しておきましょう。
もし「どのホテルを選べばよいかわからない」「求人票だけでは判断できない」と感じる場合は、宿泊業専門の転職エージェントに相談する方法もあります。
職場ごとの働き方や求人票だけではわかりにくい情報を確認しながら、自分に合う職場を探してみてください。

