ホテルや旅館の仕事では、お客様から「また来たいと思ってもらえる接客」を行うことが大切です。それはつまり、リピーターになってもらうための接客とも言えます。また、ホテルスタッフがリピーターを獲得するためには、接客以外にも活用できる施策やサービスがあるでしょう。
そこでこの記事では、お客様から「また来たい」と思ってもらうために実践したい接客と施策のポイントを紹介します。ホテルなどの宿泊業で活躍し、顧客満足度を上げていきたい方はぜひ参考にしてください。
また来たいと思ってもらえる接客のポイント10選
ホテルのお客様から「また来たい」と感じてもらうためには、接客時に多くのポイントを大切にする必要があります。この章では、接客で意識したいポイントを紹介しましょう。
身だしなみや表情で安心感を与える
ホテルスタッフの印象は、接客を始めた瞬間から形づくられます。清潔感のある身だしなみや自然な笑顔は、お客様に安心感を与える要素です。
また、言葉遣いが丁寧でも、表情が硬かったり声が暗かったりすると、歓迎の気持ちが伝わりにくくなります。言葉の内容だけでなく、表情や姿勢、声のトーンにも気を配りましょう。
接客前には、制服の乱れや髪型、名札の位置などを確認します。挨拶をする際は、お客様のほうを向き、聞き取りやすい声で話すことも大切です。
お客様に「気持ちよく迎えてもらえた」と感じてもらうためにも、見た目と振る舞いの両方を整えましょう。
お客様の話を丁寧に聴く
お客様に合った提案をするには、要望を正しく把握する必要があります。そこで意識したいのが、相手の話に丁寧に耳を傾ける「傾聴」です。
傾聴では、話を遮らず、相づちやうなずきを交えながら内容を受け止めます。言葉だけでなく、表情や声の調子にも注意を向けることが大切です。
たとえば、お客様から要望を伝えられた際は、すぐに結論を出さないようにします。まずは最後まで話を聴き、必要に応じて質問しましょう。
「静かな部屋をご希望ですね」など、内容を自分の言葉で確認する方法も効果的です。認識のずれを防げるほか、お客様に安心感を与えられます。
また、自分の価値観だけで判断しない姿勢も欠かせません。要望の背景まで確認すると、お客様自身も気づいていないニーズを把握できる場合があります。
日頃から丁寧に話を聴くことで、適切な提案や細やかな対応につなげやすくなるでしょう。
お客様をよく観察する
お客様のなかには、自分の要望や困り事を直接言葉にできない方もいます。そんなお客様のニーズに応えるためには、失礼にならない範囲内で観察することも大切です。
たとえば、ロビーでキョロキョロしているお客様がいると仮定します。そこでお客様を観察すると、想像力を働かせて「何かお困りなのかな?」といった気づきにつながるでしょう。その状況が長く続いた場合「何かお困りですか?」と声をかけてもよいかもしれません。
お客様から「また来たい」と思ってもらうためには、「印象に残る接客をすること」も大切となります。そのためには、お客様をよく観察したうえで相手の状況を想像する姿勢も必要でしょう。
常に+α(プラスアルファ)を意識する
マニュアルに沿った接客は、サービス品質を一定に保つうえで重要です。ただし、マニュアルどおりの対応だけでは、個別の要望に十分応えられない場合もあります。
お客様にリピーターになってもらうためには、シチュエーションに合わせて接客を変化させることも大切です。そこで重要になるのが「+α(プラスアルファ)」の考え方です。
たとえば、お客様の名前を把握している場合は、周囲への聞こえ方や本人の反応に配慮しながら、適切な場面で名前を添える方法もあります。また「ありがとうございます」という感謝も「大雨のところありがとうございます」とすれば、相手の苦労に対するねぎらいの気持ちを表現できるでしょう。
さらには、大雨で衣服が濡れたお客様にタオルを渡すことなども「+α」の配慮になるかもしれません。
具体的にできることは場面ごとに異なりますが、常に「+α」を意識すると、より良い接客につながりやすくなるでしょう。
お客様のニーズが多様であることを理解する
接客の基本は、傾聴や観察を通じてお客様のニーズを汲み取り、適切な対応を行うことです。ただし、お客様のニーズは多様です。また接客経験が豊富なスタッフであったとしても、お客様の困り事やニーズが自分の常識・想像を超える可能性もあります。
したがって、「また来たい」と思ってもらえる接客をするなかでは、自分の常識や固定観念をアップデートする姿勢も必要でしょう。
一定の距離を保つ
特に近年のようなデジタル時代では、対面接客にストレスを感じるお客様も存在します。そういうなかでリピーターを増やすためには、従来から行われている至れり尽くせりの接客を「正解」と位置づけるのではなく、お客様と一定の距離を保ちながら、相手のニーズや感覚の違いなどを汲み取る姿勢も必要です。
たとえば、以下のような価値観やコミュニケーションスタイルのお客様には、会話を最小限にして効率よく案内などを行う「簡潔で迅速な対応」が適しているかもしれません。
- 余計な会話は不要である
- 自分のペースで物事を進めたい など
感謝の気持ちを素直に伝える
「ありがとうございます」による感謝は、お客様との信頼関係を築くうえで非常に大事なものです。その際には、ただ形式的に「ありがとうございます」と言うのではなく、自然な笑顔と心を込めることが大切になります。
ご指摘を受けた際は、まず内容を確認し、ご不便や不快な思いをさせたことについて謝罪します。そのうえで「お知らせいただき、ありがとうございます」と伝えるとよいでしょう。
最後のお見送りまで丁寧に行う
ホテルスタッフとして接客を行う際には、「終わり良ければ全て良し」という言葉を意識して、最後のお見送りまで丁寧に行うことが大切です。最後の瞬間は、第一印象と同様に人の心に強く残りやすくなります。
最後の対応は、滞在全体の印象を左右する要素のひとつです。問題が起きた場合は、原因への対応や再発防止を行ったうえで、チェックアウト時にもあらためて謝罪や感謝を伝えましょう。そこからお客様の印象が変わり、リピーター化につながる可能性もあるでしょう。
問題が発生した際に印象を悪化させないためにも、ホテルスタッフはお客様が帰られる最後の瞬間まで、気を抜かずに丁寧な接客を行う必要があります。
「この人だから相談したい」と感じてもらえる関係を目指す
きめ細やかな対応を求めるお客様との間では「このスタッフさんだから相談したい」と感じてもらえる関係を目指すことが大切です。その理由は、宿泊施設にはさまざまな特徴があり、お客様が施設やスタッフを選ぶ基準も一様ではないためです。
そこでお客様との良好な関係を築くためには、「宿泊施設としての差別化」はもちろんのこと、「ホテルスタッフとしての差別化」も目指す必要があるでしょう。
お客様から「この人だから相談したい」と感じてもらうためには、先ほど紹介した傾聴や観察、「+α」を意識した接客などを継続的に行うことが求められます。
接客スキルを磨き続ける
お客様から「また来たい」と感じてもらえるホテルスタッフになるためには、接客スキルを磨き続ける姿勢も必要です。こうした姿勢で日々の仕事に取り組んでいると、お客様からの厳しい指摘や失敗なども、学びとして自らの成長に活かせるでしょう。
また、ホテルスタッフとして成長するためには、トレーニングや研修に参加して新しい接客技術を身に付けたり、常識をアップデートし続けたりする姿勢も求められます。こうしたスタンスで仕事に取り組んでいると、お客様からのご指摘も素直に受け入れやすくなるでしょう。
「また来たい」と思ってもらえる効果的なサービス
ホテルや旅館のお客様に「また来たい」と思ってもらうためには、ここまで紹介した接客のコツに加えて、効果的なサービスを併用するのもおすすめです。
こうしたサービスは、お客様とのコミュニケーションの活性化にも役立ちます。ここでは、ホテルでのリピーター獲得に役立つ6つのサービスを紹介しましょう。
ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメールは、一般に企業が顧客へ直接送る案内を指します。郵送物を指す場合が多いものの、広義では電子メールやFAXを含めることもあります。主な種類には、以下のようなものがあります。
- 紙媒体(ハガキ・手紙・チラシ・カタログなど)
- FAX
- 電子メール
選択できる種類や内容は、企業ごとに異なります。信頼関係が築けたお客様に対しては、「先日は当ホテルでお誕生日のお祝いをしてくださり、ありがとうございました。」などのメッセージを添えたハガキやメールを送るのもおすすめです。言葉を添えることで、感謝の気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
また顧客情報や宿泊履歴を利用して案内を送る場合は、個人情報の利用目的や社内ルールを確認し、プライバシーにも十分配慮する必要があります。
SNSとダイレクトメッセージ
SNSは、ホテルの情報発信や顧客対応に使える手段です。
SNSのダイレクトメッセージは、素早くやり取りしやすい点が特徴です。ハガキやFAXより、早く確認される可能性があります。
ダイレクトメッセージは、問い合わせ対応にも活用できます。空室情報やキャンペーンの案内にも便利です。
迅速で丁寧な対応は、サービスの向上につながります。結果として、再訪や再宿泊を促す効果も期待できるでしょう。
また電子メールやSNSで案内を送る際は、本人の同意、配信停止の方法、各サービスの利用規約などを確認しましょう。
リピーター特典
SNSやDMを活用する場合、リピーター特典と組み合わせるのもおすすめです。
リピーター特典とは、次回利用できるクーポンや特典を提供し、再訪のきっかけをつくるマーケティング手法です。
1ヵ月や3ヵ月などの期間を限定したり、お客様の好みに合わせたりすることで、特典に関心を持ってもらえる可能性があります。
口コミサイト
ホテルの口コミサイトも、以下の2つの理由からリピーター獲得に役立つツールです。
- お客様の率直な意見に耳を傾け、サービス改善につなげられる
- 謙虚な返信をスピーディーに行うことで、印象を変えられる可能性もある
まず、口コミサイトに投稿される率直な意見は、ホテルスタッフが接客のスタイルを見直すうえで、非常に参考になる情報です。特に不満の声には、宿泊施設やスタッフの成長につながる伸びしろが含まれている可能性があるでしょう。
こうした投稿に対して謙虚な返信を迅速に行うと、お客様の声に耳を傾ける姿勢をアピールできます。口コミに誠実に返信することで、投稿者や口コミを読む人に、施設が意見を受け止めていることを伝えられます。問題が指摘された場合は、謝罪だけでなく、可能な範囲で改善策も示すことが大切です。
会員制度やポイント制度
会員制度やポイント制度は、競合との差別化を図るうえで活用できる手法です。
たとえば、ランクやポイントシステムと組み合わせた会員制度を導入し、お客様に登録してもらいます。そこで以下のような特典を案内すると、再びホテルを訪れる動機を強化できるでしょう。
- 一定回数の宿泊で無料宿泊特典を付与する
- ポイントを朝食などの特典と交換できるようにする
- 会員限定の記念日特典を設ける
- 空室状況に応じて客室をアップグレードする など
お客様が「ポイントを貯めたい」「ランクを上げたい」と感じるようになると、競合との差別化も図りやすくなります。
清潔で快適な環境の維持
お客様に「また来たい!」と思ってもらうためには、ここまで紹介した接客やマーケティング手法に加えて、ホテルの施設を充実させることも大切です。とはいえ、客室の内装や家具を新しくすることは容易ではありません。
客室や共用スペースの清潔さを保つ「クレンリネス」も、ホテルの印象を左右する重要な要素です。
たとえば、客室の内装が古いホテルでも、クレンリネスに力を入れることで清潔感が高まり、印象が大きく変わることもあります。また客室以外でも、ロビーの椅子を整然と並べたり、フロントの観光チラシやパンフレットを整理したりすることもできるでしょう。
クレンリネスは、客室清掃を担当するハウスキーパーだけでなく、設備担当者やフロント、ベルスタッフなど、施設全体で意識することが大切です。その結果、施設全体の印象がよくなり、お客様からまた来たいと感じてもらえる環境を維持しやすくなるでしょう。
「また来たい」と感じてもらう接客で一流のホテルスタッフを目指そう
お客様から「また来たい」と思ってもらうためには、接客のなかで第一印象を意識した挨拶や身だしなみ、傾聴・観察による適切な提案といったさまざまな対応を実践する必要があります。
また、リピーターを増やすうえでは、お客様とのコミュニケーションを活性化するマーケティング施策や施設の環境整備も必要でしょう。
接客技術の高い宿泊施設で働き、一流のホテルスタッフとして成長したい方は、宿泊業に特化した転職エージェントを活用してみてください。転職エージェントのアドバイザーに相談すると、自分が理想とする接客を実践できる職場や、多くのリピーターに支持されている職場と出会える可能性があります。

