バーテンダーになるために必須の学歴や資格はなく、未経験から目指すことも可能です。本記事では、主な3つのなり方を比較しながら、資格の必要性や仕事内容、身につけたいスキル、向いている人の特徴を解説します。
バーテンダーになるには?資格や学歴は必須ではない
バーテンダーとして働くために、必須となる学歴や資格はありません。
厚生労働省のjob tagでも「入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない」とされています。
医師や調理師のように、特定の資格を取得しなければその職業に就けないわけではありません。そのため、未経験者を募集しているバーやホテルなどに採用されれば、働きながらバーテンダーの仕事を覚えていくこともできます。
ただし、資格が不要だからといって、すぐに一人前として働けるわけではありません。
カクテルのレシピや酒類についての知識、シェークやステアなどの技術、お客様とのコミュニケーションなど、現場で身につけることは数多くあります。job tagでも、一人前のバーテンダーになるには一定の経験が必要とされています。
まずは「資格を取ってから就職しなければならない」と考えるのではなく、自分に合った方法で現場経験を積むことを考えてみましょう。
バーテンダーになるための3つのルート

バーテンダーを目指す方法は、大きく3つに分けられます。
| ルート | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| バーなどで働きながら学ぶ | 実務を通じて技術や接客を学べる | できるだけ早く現場経験を積みたい人 |
| ホテルに就職してバーテンダーを目指す | ホテルの料飲サービスなどを経験しながら目指せる | ホテルバーテンダーとして長くキャリアを築きたい人 |
| 専門学校・スクールで学んでから就職する | 酒類やカクテルなどを体系的に学べる | 基礎から順番に学びたい人 |
それぞれにメリット・注意点があるため、目指したい働き方から選ぶことが大切です。
バーなどで働きながら経験を積む
一つ目は、バーや飲食店などに就職・アルバイトをして、現場で仕事を覚えていく方法です。
未経験者を採用している店舗であれば、最初はグラスの準備や清掃、ドリンクの提供補助などから始め、少しずつ酒類の知識やカクテルを作る技術を学んでいくことになります。
実際のお客様を相手にしながら学べるため、技術だけでなく、接客やバーのオペレーションも経験できるのが特徴です。
一方、どのような仕事から任されるか、どの程度指導を受けられるかは勤務先によって異なります。
未経験から応募する場合は、求人票や面接で「未経験者への教育体制」「入社後にどのような仕事から担当するのか」を確認しておくとよいでしょう。
ホテルに就職してバーテンダーを目指す
ホテルバーテンダーを目指す場合は、ホテルへ入社し、料飲部門などで経験を積んでからバー業務へ進む方法もあります。
厚生労働省のjob tagでも、ホテルに就職後、さまざまな仕事を経験してからバーテンダーの道に進む方法が紹介されています。
ホテルでは、バーだけでなくレストランやラウンジ、宴会など複数の料飲サービスを運営している場合があります。
そのため、まずレストランサービスなどを経験し、ホテルで求められる接客や料飲サービスの基礎を身につけたうえで、バーテンダーを目指すケースも考えられます。
ただし、必ず希望どおりバーに配属されるとは限りません。
ホテルバーテンダーを目指して転職する場合は、応募時に「バーへの配属を前提とした求人なのか」「料飲部門全体での採用なのか」「将来的な異動の可能性があるのか」を確認しておきましょう。
専門学校・スクールで学んでから就職する
飲食やホテル関連の専門学校などで、酒類やカクテルについて学んでから就職する方法もあります。
job tagによると、各種学校ではバーテンダーに必要な知識やシェーキング技術などの実技を学ぶことができます。
基礎から体系的に学びたい人にとっては、一つの選択肢になるでしょう。
一方、バーテンダーになるために専門学校の卒業が必須なわけではありません。通学には学費や時間も必要です。
「まず現場に入って経験を積みたいのか」「就職前に知識や技術を身につけたいのか」を考えたうえで選ぶことが大切です。
未経験からバーテンダーになるならどのルートがおすすめ?
どのルートがよいかは、将来目指したい働き方によって異なります。
できるだけ早く現場経験を積みたい
早くバーテンダーとしての経験を積みたい場合は、未経験者を募集しているバーやホテルなどを探してみましょう。
バーテンダーは実際の接客やドリンク作成を通して身につけることも多いため、働きながら学ぶ方法には大きなメリットがあります。
ただし、求人によって担当業務や教育体制は異なります。単に「未経験可」だけを見るのではなく、入社後にバーテンダーとして成長できる環境なのかも確認しましょう。
ホテルバーテンダーとして働きたい
ホテルのバーで働きたい場合は、バー勤務を募集しているホテルへ直接応募する方法のほか、料飲部門からキャリアを始める方法があります。
ホテルバーテンダーはカクテルを作る技術だけでなく、ホテルのサービス基準に沿った接客も求められます。
そのため、ホテル業界自体が未経験の場合は、料飲サービスを経験しながらホテル接客の基本を身につけることも、将来の選択肢になるでしょう。
基礎から体系的に勉強したい
「お酒についてほとんど知識がなく、いきなり現場に入るのが不安」という場合は、専門学校やスクールなどで学んでから就職する方法もあります。
酒類の基礎知識やカクテルの技法などを順番に学べるため、基礎を身につけてから就職活動に進みたい人に向いています。
バーテンダーになるために資格は必要?
バーテンダーになるための必須資格はありません。
ただし、バーテンダーとして知識や技術を高めるために取得を目指せる民間資格はあります。
代表的なものの一つが、日本バーテンダー協会(N.B.A.)が実施する「バーテンダー呼称技能認定試験」です。日本バーテンダー協会では、バーテンダー呼称技能認定試験や、上位資格となるインターナショナルバーテンダー呼称技能認定試験などを実施しています。
ただし、資格を持っていなくてもバーテンダーとして働くことはできます。
未経験から目指すのであれば、「資格を取らなければ応募できない」と考える必要はありません。まず実務経験を積み、その後のスキルアップの一環として資格取得を検討する方法もあります。
なお、試験の受験資格や内容は変更される可能性があるため、受験を検討する場合は日本バーテンダー協会の最新情報を確認しましょう。
バーテンダーの仕事内容
バーテンダーというと「カウンターでカクテルを作る仕事」をイメージしやすいですが、仕事内容はそれだけではありません。
厚生労働省のjob tagでは、バーやパブ、ホテルなどで、お客様の注文に応じてカクテルを作ったり、その他の酒類を提供したりする仕事として紹介されています。
勤務先によって異なりますが、主な仕事には次のようなものがあります。
カクテルや酒類を提供する
バーテンダーの中心となる仕事です。
お客様から注文を受け、カクテルを作ったり、ウイスキーやワインなどの酒類を提供したりします。
カクテルには、シェーカーを振る「シェーク」、ミキシンググラスで混ぜる「ステア」、グラスの中で直接作る「ビルド」などさまざまな技法があります。
単にレシピどおりに作るだけでなく、お客様の好みを聞きながらドリンクを提案することもあります。
お客様を接客する
バーテンダーにとって、接客も重要な仕事です。
お客様によって、バーテンダーとの会話を楽しみたい人もいれば、静かにお酒を楽しみたい人もいます。
相手の様子を見ながら適切な距離感で接することが求められるため、「話す力」だけでなく、相手の話を聞く力や観察力も必要です。
ホテルの場合は、宿泊客や海外からのお客様など、さまざまな人と接する機会があります。勤務するホテルによっては、外国語を使った接客が役立つこともあるでしょう。
開店準備や片付けをする
バーの営業は、お客様が来店してから始まるわけではありません。
営業前には、氷やドリンクの材料を準備したり、グラスや道具を整えたりします。job tagでも「氷や飲み物の材料を準備する」ことがバーテンダーのタスクとして示されています。
営業後にはグラスや器具の洗浄、カウンターの清掃なども必要です。
在庫確認や発注をする
経験を積むと、酒類や材料の在庫確認、発注などを任される場合があります。
さらに責任あるポジションになれば、新しいドリンクメニューの開発やスタッフの教育、バー全体の運営などに関わることもあります。
バーテンダーに必要なスキル
バーテンダーとして長く働くためには、カクテルを作る技術だけでなく、複数の力が必要です。
お酒やカクテルについての知識
バーテンダーは、さまざまな酒類を扱います。
ウイスキーやジン、ラム、テキーラ、リキュールなどの特徴を理解し、それぞれを組み合わせたカクテルのレシピや技法を覚えていかなければなりません。
すべてを就職前に覚えておく必要はありませんが、働き始めてからも継続して勉強する姿勢が求められる仕事です。
カクテルを作る技術
同じレシピでも、計量や温度、氷の扱い方などによって仕上がりは変わります。
シェークやステアなどの基本的な技法を覚え、安定した品質で提供できる技術を磨くことが大切です。
こうした技術は知識だけで身につくものではないため、実際に作りながら経験を重ねていくことになります。
コミュニケーション力・観察力
バーテンダーは、お客様とカウンター越しに接する仕事です。
会話を盛り上げることだけがコミュニケーションではありません。
「どんなお酒を求めているのか」「話したいのか、静かに過ごしたいのか」などを考えながら、お客様に合わせた接客をする必要があります。
聞く力や観察力も、バーテンダーにとって重要なスキルといえるでしょう。
体力・自己管理
バーテンダーは立っている時間が長くなることがあり、酒瓶や氷などを扱う作業もあります。
また、バーによっては夜を中心とした勤務になるため、生活リズムを含めた自己管理も必要です。
華やかな接客だけでなく、こうした働き方も理解したうえで職場を選びましょう。
バーテンダーの年収はどれくらい?
厚生労働省のjob tagでは、バーテンダーが属する主な職業分類に対応する2025年の賃金統計として、全国の年収は379.1万円と掲載されています。
ただし、この数字は必ずしもバーテンダーだけを対象とした統計ではありません。job tagでも、掲載されている統計データがその職業のみを示すものとは限らないと注意書きがあります。
実際の給与は、
- 勤務する店舗・ホテル
- 雇用形態
- 勤務地
- 経験年数
- 担当する役割
などによって異なります。
転職を検討するときは平均年収だけで判断せず、求人ごとの基本給や賞与、手当、勤務時間などを確認することが重要です。
バーテンダーの大変なところ
バーテンダーは専門性を身につけられる一方、仕事ならではの大変さもあります。
覚えることが多い
酒類の種類や特徴、カクテルのレシピ、道具の使い方、接客など、覚えることは少なくありません。
経験を積んだあとも、新しい商品やドリンクについて学び続けることが求められます。
「お酒が好き」という気持ちだけではなく、知識や技術を深めること自体を楽しめるかどうかも重要でしょう。
夜を中心とした勤務になることがある
バーの営業時間によっては、夕方から深夜にかけて勤務することがあります。
勤務時間は職場によって異なるため、夜型の働き方が自分の生活に合っているか確認しておきましょう。
ホテルの場合も、バーの営業時間や勤務シフトは施設ごとに異なります。応募前に勤務時間を確認することが大切です。
接客と技術を同時に求められる
バーテンダーは、ドリンクを作るだけの仕事ではありません。
目の前のお客様と接しながら、正確にドリンクを作り、周囲の状況にも気を配る必要があります。
特に忙しい時間帯には、複数のお客様へ対応しながら作業を進めることになるため、落ち着いて仕事を進める力も求められます。
バーテンダーに向いている人
バーテンダーには、次のような人が向いています。
お酒について学ぶことが好きな人
バーテンダーとして成長するには、さまざまなお酒やカクテルについて学び続ける必要があります。
「飲むのが好き」というだけでなく、お酒の種類や製法、味の違いなどに興味を持てる人であれば、知識を深めることも楽しみやすいでしょう。
人と接することが好きな人
接客はバーテンダーの仕事の大きな部分を占めます。
さまざまなお客様と接し、それぞれに合わせたサービスを考えることを楽しめる人に向いている仕事です。
ただし、自分からたくさん話せることだけが重要ではありません。相手の話を聞いたり、必要以上に話しかけず見守ったりすることも接客の一つです。
コツコツ技術を磨ける人
カクテル作りは、短期間で完成する技術ではありません。
実際に作りながら経験を積み、少しずつ精度を高めていく必要があります。
すぐに結果を求めるのではなく、日々の仕事を通して技術を磨ける人に向いています。
夜の勤務に対応できる人
職場によっては夜間勤務が中心になるため、夜型の働き方に抵抗がない人の方が続けやすい場合があります。
生活リズムを重視したい場合は、応募先の営業時間やシフトを事前に確認しましょう。
ホテルバーテンダーと街中のバーは何が違う?

バーテンダーの勤務先には、街中のバーだけでなくホテルもあります。
カクテルや酒類を提供するという基本的な仕事は共通していますが、働く環境には違いがあります。
ホテルのバーでは、宿泊客をはじめ、レストランや宴会を利用するお客様など、さまざまな人を接客する可能性があります。
また、ホテルによってはバー単独で採用するのではなく、「料飲部門」としてスタッフを採用していることもあります。
ホテルバーテンダーを目指す場合は、
- バー専任で働くのか
- レストランやラウンジなど他の料飲業務も担当するのか
- 将来的な配置転換があるのか
- 未経験者への教育制度があるのか
といった点を求人票や面接で確認すると、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
ホテルで長期的に働きたい人にとっては、バーテンダーとしての専門性を磨くだけでなく、料飲サービス全体へ経験を広げられるかどうかも、職場選びのポイントになるでしょう。
バーテンダーのその後のキャリア
バーテンダーとして経験を積んだ後も、さまざまなキャリアが考えられます。
たとえば、
- より経験を積んだバーテンダーとして専門性を高める
- バーの責任者・マネージャーを目指す
- ドリンクメニューの開発に携わる
- 後輩バーテンダーを育成する
- 自分のバーを開業する
といった道があります。
厚生労働省のjob tagでも、独立して自分の店を持つことがバーテンダーの目標の一つとして紹介されています。
ホテルで働く場合は、バーだけでなくレストランや宴会などの料飲部門で経験を広げ、管理職などを目指すことも選択肢になるでしょう。
どのキャリアが正解というわけではありません。
「カクテル作りの専門性を追求したい」「店舗運営にも関わりたい」「ホテルの中でキャリアを広げたい」など、自分が将来どのような働き方をしたいか考えながら職場を選ぶことが大切です。
未経験からバーテンダーになるまでの3ステップ

最後に、これからバーテンダーを目指す場合の流れを整理します。
STEP1|どこで働きたいかを決める
まずは、街中のバーで働きたいのか、ホテルバーテンダーを目指したいのかを考えてみましょう。
働く場所によって、接するお客様や仕事内容、勤務時間、将来のキャリアも変わります。
まだ明確に決まっていない場合は、両方の求人を見比べてみるのも一つの方法です。
STEP2|未経験から入れる求人や学ぶ方法を探す
バーテンダーになるために資格は必須ではありません。
そのため、未経験歓迎の求人を探して現場に入る方法もあれば、専門学校などで基礎を学んでから就職する方法もあります。
求人を見るときは、「未経験可」だけでなく、教育体制や最初に担当する業務まで確認しましょう。
STEP3|働きながら知識と技術を身につける
バーテンダーは、就職してから覚えることの多い仕事です。
酒類やカクテルの知識、ドリンクを作る技術、接客などを実務の中で身につけていきましょう。
経験を重ねた後は、資格取得やコンテストへの挑戦、マネジメント、独立など、自分が目指すキャリアに応じて専門性を高めていくことができます。
バーテンダーは未経験からでも目指せる
バーテンダーになるために、特定の学歴や資格は必須ではありません。
未経験から目指す場合は、
- バーなどで働きながら経験を積む
- ホテルに就職してバーテンダーを目指す
- 専門学校などで学んでから就職する
といった方法があります。
大切なのは、「資格を取ればバーテンダーになれる」と考えるのではなく、実際の現場で酒類の知識やカクテルを作る技術、接客力を身につけていくことです。
特にホテルバーテンダーを目指す場合は、バー専任の求人だけでなく、料飲部門から経験を積める職場も選択肢になります。
どのルートが自分に合っているのかを考えながら、未経験から応募できる求人や教育環境の整った職場を探してみましょう。

